第1课 童话(语り)第1课 童话(语り).docVIP

第１課　童話（語り） 内容１　童話１ その１ ある夜のこと、和尚さんは今日も大好物の水飴を嘗めていました。しかし、今日はいつもと様子が違います。そうです、和尚さんの様子を小坊主たちが障子の隙間からこっそり覗いていたのです。と、その時です。小坊主たちが押し合いながら覗いていたので、バリバリバリと障子が破れてしまいました。「なんじゃ、おまえたちは、そこでなにをしておる。」「はい、和尚さまのその壷が気になって、何が入っているのかとお尋ねしようと思っておりました。」でも、本当は。小坊主たちは中に入っているのが水飴だととっくに知っていたので、自分たちも食べたかったのです。「これか、これはだな、そう、毒じゃ、大人が嘗めても大丈夫だが、子供が嘗めては死んでしまう毒じゃ。」和尚さんはとっさにこんなことを言いました。 さて、夕方になって、和尚さんが帰ってきました。すると、一休さんが泣いています。エーン、エーン、エーン。「これ、一休、どうしたのじゃ、なぜ泣いておる。」「はい、和尚さま、私は和尚さまが大事にしておられる硯を割ってしまいました。それで、申し訳ないと思い、毒を飲んだのですが、死ねないのです。」「何をばかなこと、そんなことで毒を飲むやつがおるか。で、その毒はどこにあったのじゃ。」「はい、昨日の夜和尚さまが嘗めておられた壷に入った毒です。」「おう、あれを嘗めたのか、あれは毒というか、まあ、よい、二度とあの壷の毒を飲むでないぞ。」そう言って、和尚さんは叱ることもできず、がっかりして部屋に入ってしまいました。でも、仕方ありません。あれを毒だといったのは和尚さまなのですから。 その２ 　さて、それから、しばらく経ったある日、こんなこともありました。和尚さんは囲碁が好きで、呉服屋の弥助さんを呼んでは、よく囲碁をしていました。しかし、囲碁が始まると、いつも夜遅くまで終わりません。小坊主たちは囲碁が終わり、弥助さんが帰るまで、寝ることができないので、弥助さんが来るのが悩みの種でした。そこで、一休さんはお寺の門のところに、こんな張り紙をしました。「獣の皮を着ている人は、寺に入るべからず」というのも弥助さんはいつも毛皮を着ていたからです。しかし、その日も、弥助さんはいつものとおり、お寺に入ってきました。それを見た一休さんは言いました。「あれ、弥助さん、門に貼ってあった張り紙を見ませんでしたか。」すると、弥助さんは言いました。「見ましたよ、でも可笑しいですね。お寺にある太鼓はいいんですか。あれも獣の皮を貼ってあるじゃないですか。あれがいいのなら、私もいいはずでしょう。」弥助さんも少し頓知ができるようです。でも、一休さんにはかないません。「そうですか、なら、弥助さんは太鼓なのですね。ということは、バチで叩かれてもいいのですね、おーい、みんな、弥助さんを叩いて差し上げろ。」そう言って、小坊主たちはみんなで弥助さんをたたこうと追い掛け回しました。弥助さんは「こりゃかなわん。」と町へ逃げ帰っていきました。 その３ 　そしてある日、和尚さんと一休さんに手紙を送りました。手紙にはいつものお礼をしたいので、一度家に遊びに来てくださいと書いてありました。その手紙を受け取った和尚さんと一休さんは、早速弥助さんの家へ行くことにしました。さて、家の近くの川にかかった橋の前まで来ると、なにやら立て札が立っています。そこには「このはしをわたるべからず」と書いてあります。和尚さんは不思議そうな顔をしていますが、一休さんはおかまいなしに堂々と橋の真ん中を渡っていきます。「これ、これ、一休、立て札に『このはしを渡るべからず』と書いてあるぞ。」と和尚さんが言うと、一休さんはすました顔で言いました。「はい、ですから、端ではなく、真ん中を渡っております。」そう言って渡ってきた一休さんに、弥助さんもすっかり兜を脱ぎました。 内容２　童話２ その１ 　むかしむかし、あるところにそれはそれは美しいお姫様がおりました。姫はとても頭がよく、上品で、しかも、琴をとても上手に弾くことができました。そして、姫にはとても優しいお母様がいましたが、もう長い間重い病気で寝たきりでした。お母様は自分にもしものことがあった時に、あとに残される姫のことが心配でなりません。ある日のこと、お母様が寝ていると、夢枕に観音様が現れて言いました。「姫の幸せを願うなら、姫の頭に鉢を被せるとよいでしょう。」それを聞いたお母様は、次の日、観音様のお告げのとおり、姫の頭に鉢を被せたのです。そして、安心したお母様は数日後、姫を残して息を引き取りました。 　それから、何年間か経ったある日、お父様のところに新しいお母様が来ました。そのお母様は、姫の姿を見ると、冷たく言いました。「まあ、何て君が悪いんだろうね。私は一緒に住むのはいやだよ。出ておゆき