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书面-原后综合法律事务所
判例研究:情報公開訴訟におけるインカメラ審理?検証申出却下事件
東京地裁平成16年12月21日決定(訟務月報51巻10号2578頁)
三 宅 弘
第1 事案の概要
1 本件は、原告特定非営利活動法人情報公開市民センター、被告外務大臣の東京地裁平成13年(行ウ)第150号行政情報不開示決定処分取消請求事件の審理中に、原告が同不開示決定にかかる本件各文書全部の検証を申し出た件である。同処分取消請求事件は、東京地判平成18年2月28日判時1948号35頁のとおり第1審判決が下された。控訴審では、東京高判平成20年1月31日が下された。第1審における検証申出は、次のとおり、申し立てられた。
① 証すべき事実 被告が平成13年6月1日付けで原告に対して行った5件の行政文書不開示処分に係る行政文書(以下「本件各文書」という。)に、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(ただし、平成13年法律140号による改正前のもの。以下「情報公開法」という。)5条1号及び6号に規定された不開示情報が記録されていないこと、被告が同条3号の不開示情報に該当すると判断したことについて相当の理由が認められないこと 検証の目的物 本件各文書全部 検証によって明らかにしようとする事項 本件各文書の種類、記載されている事項及びその内容に、情報公開法5条1号、3号及び6号に規定された不開示情報が記録されていない事実等 検証の目的物の提示又は受忍の申立て 民事訴訟法232条1項の準用する同法219条の規定に基づき、被告に対し、本件各文書を提示し又は検証を受忍するよう命じることを求める。 立会権の放棄 本件訴訟の性格上、原告は検証手続の立会権を放棄する。2 被告本件申出は、検証の名を借りた書証の申出であり、ひいては、情報公開法及び民事訴訟法が許容していない、いわゆるインカメラ審理(以下「インカメラ審理」という。)を行うことを求めるものにほかならず、不適法であるから、却下されるべきであるところで、検証の申出は、挙証者自らが目的物を所持しないときは、所持者にその提示又は検証の受忍を命ずる申立てとともにする必要があるところ、提示命令又は受忍命令は、所持者が当該目的物を提示すべき義務又は当該目的物の検証を受忍すべき義務がない場合においては発することができない。 本件訴訟は、情報公開法に基づく本件各文書の開示請求に対する不開示処分の取消請求訴訟であって、本件各文書に情報公開法5条1号、3号及び6号の規定する不開示情報が記録されているか否かが争点となっているものであるが、かかる訴訟において、被告が本件各文書を提示しあるいは本件各文書の検証を受忍しなければならないとすると、それによって、当該文書を不開示とした処分を取消して本件各文書が開示されたのと実質的に同じ状態が生じ、訴訟の目的が達成されてしまうこととなるが、このような結果は、上記の情報公開制度の趣旨に照らして不合理であり、上記訴訟においては、被告は、本件各文書について、これを提示すべき義務あるいは本件各文書の検証を受忍すべき義務を負っていないものと解するのが相当である。 そして、検証の結果は、裁判所によって調書に留められ、記録の一部となって当事者に閲覧謄写可能なものとなるものであることからすれば、原告が検証への立会権を放棄したか否かによって、上記の結論は左右されないというべきである。なお、原告は、明文の規定がなくても、憲法76条によって付与された司法権の一環として、裁判所は検証をインカメラ審理によって行うことができる旨主張する。 しかしながら、現行の民事訴訟法は、検証物提示義務の存否及び文書提出義務の存否の審理に限ってインカメラ審理に関する規定を設ける(民事訴訟法223条6項、232条1項)一方で、そのほかには、このような規定を置いていない。そして、検証をインカメラ審理によって行うという手続は、相手方当事者にその内容を知らせず非公開で行う特別な制度であるから、明文の定めがないにもかかわらず、裁判所が憲法76条の規定を根拠として直ちにこのようなインカメラ審理を行うことができると解することはできない3 以上によれば、本件申出を採用することはできないというべきであるから、これを却下することとし、主文のとおり決定する。(裁判官 市村陽典 石井浩 矢口俊哉)、アメリカ合衆国においては、インカメラ審理そのものは、情報開示訴訟に限定されていない(営業秘密をめぐる訴訟などでもある)。
2 日本の情報公開制度の検討においては、インカメラ審理は情報公開審査会(当時)の審理手続として採用されたが、さらに情報不開示決定処分取消訴訟におけるインカメラ審理手続を採用するかについて検討され、憲法82条の公開裁判原則に違反するか等の検討課題があ
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