章脂肪族化合物.PDFVIP

３章　脂肪族化合物① 要点 重要ポイント 1 　アルコール 　アルコールは脂肪族炭化水素のH 原子をヒドロキシ基-OH で置換した構造をもつ。この -OH 基のため，アルコール特有の様々な性質を示す。 （１）アルコールの分類 ①　-OH 基の数による分類 　⒜　1 価アルコール…分子中に-OH 基を1 個含むもの。 （例）メタノール　CH OH，エタノール　C H OH 3 2 5 　⒝　2 価アルコール…分子中に-OH 基を2 個含むもの。 （例）エチレングリコール （1,2-エタンジオール）　 　⒞　3 価アルコール…分子中に-OH 基を3 個含むもの。 （例）グリセリン （1,2,3- プロパントリオール）　 ②　-OH 基が結合している炭素原子の結合状態による分類 ⒜　第一級アルコール…-OH 基が結合している炭素原子に，0 または1 個の炭素原子が結 合しているもの。 〔一般式〕　 （例）CH OH　メタノール 3 CH -CH -OH　エタノール 3 2 CH -CH -CH -OH　1- プロパノール 3 2 2 ⒝　第二級アルコール…-OH 基が結合している炭素原子に，２個の炭素原子が結合してい るもの。 〔一般式〕　 （例）　 ⒞　第三級アルコール …-OH 基が結合している炭素原子に，3 個の炭素原子が結合してい るもの。 〔一般式〕 （例） （２）アルコールの製法 ①　メタノールの製法 （水性ガスから） コークス （C）に高温で水蒸気を反応させると，水性ガス （H2 とCO の混合気体）が得 られる。 C+H O 　　 H +CO 2 2 水性ガス 水性ガスを，ZnO を触媒として高温 ・高圧で反応させると，メタノールが得られる。 CO+2H 　　 CH OH 2 3 ②　エタノールの製法 （アルコール発酵＊） ブドウ糖 （グルコース）に酵母 （チマーゼ）を加えて発酵させるとエタノールが得られる。 C H O 　　 2C H OH+2CO 6 12 6 2 5 2 ＊この方法で得たエタノールは飲用に用いられる。エタノール濃度が12％以上になると，チマー ゼは不活性となり，反応が止まる。このため，ブドウ酒などのアルコール濃度は12％になる。 これを蒸留して濃縮し，アルコール濃度を40 ～50 ％にしたものがブランデーである。シャン ペンなどの炭酸を含むアルコール飲料は，この反応で生じたCO2 がそのまま溶けているので ある。 ③　アルケンからの合成 希硫酸を用いた場合は，上の2 段階の反応が1 段階で進行し，H SO は見かけ上触媒とし 2 4 て働く。 （３）物理的性質 ①　アルコールは-OH 基を有するので，液体や固体状態では分子間に 水素結合が存在する。 ②　アルコールの沸点は，同じくらいの分子量をもつ炭化水素よりも かなり高い。これは，分子間に水素結合を有するからである。 ③　-OH 基は親水基であり，炭化水素基は疎水基である。そのため，-OH 基の割合が大きい 炭素数の少ないアルコール （低級アルコール）は，水によく溶ける。また，逆に炭化水素基 の割合が大きい炭素数の多いアルコール （高級アルコール）は，水には溶けにくい。 （４）化学的性質 ①　金属ナトリウムと反応して水素を発生する。 （例）　2C H OH+2Na 　　 2C H ONa+H