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平成２９年度大学院地球社会統合科学府 修士課程（冬季）入学試験 入 学 試 験 問 題 ② 生 物 学 注意事項 １．問題は「はじめ」の合図があるまで開けないこと。 ２．試験開始後、解答用紙に受験番号等を明記すること。 ３．解答用紙は、必ず全部提出すること。 ４．問題冊子は持ち帰ってよい。 ５．指定の解答用紙を用いること。 九州大学大学院地球社会統合科学府 次の問題I、 II に解答しなさい。 問題I 下の文を読んで問１〜３に答えなさい。 下の図は、ある岩礁の潮間帯における生物群集の食物網の一部を示している。この食物 網には、移動しながら岩礁の表面の藻類を食するヒザラガイとカサガイ、植物プランクト ンをろ過して食べる固着性のイガイ、フジツボとカメノテ、さらに肉食者であるヒトデと イボニシが含まれている。ただし、生産者として岩場に生息する藻類や海水中に植物プラ ンクトンが存在しているが、図では省略されている。それぞれの生物は餌や餌場をめぐる 競争関係にある。ヒトデは餌動物のうち、主にフジツボとイガイを捕食し、イボニシは主 にフジツボを捕食している。また、固着性動物のイガイなどが岩礁表面を覆うと、藻類は 生育できなくなる。自然状態では、ヒトデが競争に強いイガイを盛んに捕食するため、そ こに空いたスペースができ、多くの種が共存できている。 （問１）この潮間帯に生息する以下の生物が属する分類群名を選択肢の中から選びなさい。 （各10 点、計30 点） 生物：ヒトデ，フジツボ，ヒザラガイ 選択肢：棘皮動物，節足動物，軟体動物，線形動物，刺胞動物，環形動物 （問２）この食物網内では、ヒトデが他の生物に対して大きな影響を与えている。このよ うな種を何というか答えなさい。（10 点） （問３）ヒトデをこの食物網から除去し続けると、どのようなことが生じると考えられか？ 直接効果と間接効果の側面から各50 字以内で答えなさい。（各30 点、計60 点） 問題II 次の問１、２に答えなさい。 （問１）次の用語の中から5 つ選んで、それぞれの意味を100 字程度で説明しなさい。（各 10 点、計50 点） 生態的地位（ニッチ）、近親交配、ベイツ型擬態、共進化、二名法、生物学的種概念、 分子系統学、自然分類群、外来種、進化的重要単位 (Evolutionary Significant Unit: ESU) （問２）地球環境の悪化が懸念されている主な理由は、人間にとっての有用性が失われて いることにあるだろう。地球環境がもたらす有用性は「生態系サービス」と呼ばれており、 ミレニアム生態系評価によって提起された概念である。それについて 400 字程度で説明し なさい。（50 点）