解说pdf-安井武史-德岛大学.pdfVIP

多波光応用技術 テラヘルツ・カラースキャナー 徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 安井　武史 することにより，従来法と比較して10,000 倍以上の高 1．はじめに 速化を実現した5）。その結果，世界で初めて動体サンプ われわれはカラースキャナーを日常よく利用する。こ ルのTHz 分光イメージングに成功した。本稿では，わ れは可視領域の分光画像を取得する機器であるといえ れわれが開発したTHzカラースキャナー5） とその応用計 る。しかし，可視光の物体浸達度の制限により表面近傍 測例6）を紹介する。 のみの情報しか得られないため，書類や写真の読み取り 2.THz 波 などに利用が限定されていた。このような技術を物質透 過性の良好なテラヘルツ領域 （THz 領域 周波数0.1 図1に，電磁波の周波数 （波長）マップを示す。THz 10THz，波長30 μm 3000 μm）まで拡張できると， 領域は，ちょうど光波と電波の境界に位置し，これまで 物体内部の情報も取得可能になる。さらに，カラー （分 良質なレーザー光源や高感度検出器の開発が遅れていた 光）画像も取得できるので，各種物質固有の吸収スペク ため，唯一残された未開拓電磁波領域であった。しかし， トル （THz 指紋スペクトル）を利用して 「どこに」，「な にが」あるかを識別できる。このようなTHz 波を用い た成分分析型内部透視イメージング技術は，セキュリテ ィー分野1） 2） 3） ，バイオ分野 ，製薬分野 等における有力 な検査ツールと期待されている。しかし，通常の点計測 に基づいたTHz 分光イメージング装置では，スペクト ル取得 （時間遅延走査）およびイメージ取得のために複 数の機械的走査機構が必要となり，長い測定時間 （数時 間以上）を要する。その結果，測定対象が静止物体のみ に限定され，実用を損ねてきた。 ここで，THz 波の光としての並列性に注目し，電気 光学的時間空間変換による実時間THz 時間波形計測 と線集光THz 結像光学系による実時間THz ラインイメ