台湾の青果物卸売市場流通システムの変化.docVIP

台湾の青果物卸売市場流通システムの変化 陳柏壽 　　　肬黒あかね 応用日本語学科助教授兼学科長 応用日本語学科講師 【要　旨】 台湾における青果物流通システムは、1980年代後期を境に従前とは異なる２点の変化が生じたと指摘できる。第１は、卸売市場間の価格差が拡大化したことである。これは統計データなどからその傾向を証明し、原因を卸売市場間での取引方法の違いや、セリ取引の低採用率に求めた。第２は、青果物流通システムにおける卸売市場流通システムが後退傾向にあることである。これは増加する生鮮青果物及び加工品の輸入量が非卸売市場経由であることから来るもので、卸売市場経由率の低下を統計データなどから証明した。本件に関する研究はこれまで行われず、実態の究明が極めて遅れた状況にあった。 キーワード：流通、卸売市場、経由率、取扱量  Changes in the Wholesale Marketing System of Vegetables and Fruits in Taiwan Po-Shou Chen Hijikuro Akane Assistant Professor, Dept. of Applied Japanese Lecturer, Dept. of Applied Japanese 【Abstract】 Two points can be pointed out as changes that completely differ. (1) Price margin between the wholesale markets extremely big. (2) Retreat of the wholesale marketing system of vegetables and fruits in a vegetables-and-fruits physical distribution system started. About this retreat, it was able to prove from that the amount of import of a fall of the rate of via a wholesale market, the fresh vegetables-and-fruits increased, Which the fresh vegetables-and-fruits which circulating out of a wholesale market increased rapidly about the caused factor. Key words：Distribution , Wholesale market , Routing rate , Operation quantity  台灣生鮮蔬果批發市場行銷系統之變化 陳柏壽　　 肬黒茜 應用日語系專任助理教授兼系主任 應用日語系專任講師 【摘 要】 台灣之生鮮蔬果行銷與流通系統，對於批發市場之現況加以分析，歸納出下列二項變化：第一，批發市場之同業競爭，交易方式多樣化，各市場間的價格差異頗大。第二，國外生鮮蔬果和加工品的輸入量居高不下，市場占有率出現持續下降趨勢。今後生鮮蔬果行銷與流通系統之改善與加強，上述的變化情況有効加以分析並提出建言為本文之主要課題。 關鍵字：行銷、批發市場、占有率、成交量  Ⅰ．はじめに 　今日の台湾の青果物流通１システムは、複雑且つ多様なルートから構成されている。流通システムで最も代表的なものが卸売市場である。卸売市場の主要な役割は供給量の過不足を調整し、供給の均衡を図る事である。また、卸売市場という公開性の高い場での競争（競売）によって、公正な価格形成が可能になると言える。 　青果物が生産者から消費者の手に渡るまでの「垂直」的取引には、およそ８種の流通ルートがある。図１（野菜）、図２（果実）に示すように、卸売市場を経由する（④、⑤、⑥、⑦）と、それ以外（①、②、③、⑧）の二つに大別される。本論文では、卸売市場を通して行われる流通を「卸売市場流通システム」とし、卸売市場を経由しないものを「卸売市場外流通システム」とする。 台湾における市場流通システムの動向を分析した結果、以下の２点が特徴としてあげられる。第１は卸売市場間での取引方法の違い、ないしセリ取引を採用する市場の少なさによって、卸売市場間の価格差が極めて大きいことであり、第２は青果物流通システムにおける卸売市場流通システムの後退傾向である２。 　これまで、台湾における青果物流通や卸売市場の動向およびに、その背景にある要因の考察はほとんどない。しかし、今後の我国の青果物流通システムを考える上でも、早急な究明