革新的金属ナノ中空球および金属ナノチューブの創製と機能性.pdfVIP

平成１７年度採択分 平成２０年３月３１日現在 革新的金属ナノ中空球および金属ナノチューブの創製と 機能性解明 Fabrication of Novel Nano-hollow Sphere Metals and Metallic Nano-tube and Elucidation of Physical Properties 中嶋 英雄 （Nakajima Hideo） 大阪大学・ 産業科学研究所・教授 研究の概要 本研究では、固相における相互拡散のカーケンドール効果を利用してナノポア（空孔の 集合体）を生成させた金属ナノ中空球および金属ナノチューブを創製し、その中空化機 構の解明を行っている。これまでに、金属ナノ粒子の酸化を利用した中空化現象を透過 型電子顕微鏡顕(TEM)によって調べ、そのメカニズムを明らかにした。 研 究 分 野：工学 科研費の分科・細目 ：材料工学・構造機能材料 キ ー ワ ー ド：ナノ粒子・ナノチューブ・ポーラス材料 １．研究開始当初の背景・動機 どの熱処理プロセスを利用し、ナノ中空球 最近、ポーラス金属、セル構造体、発泡 の作製およびその形成機構の解明を行って 金属などの多孔質金属の研究が基礎から応 いる。 用開発に至るまで幅広く行われて来ている。 ４．これまでの成果 特に、本研究代表者らが開発したロータス 金属ナノ粒子の酸化を利用した中空化現 型ポーラス金属は気孔が一方向に直線的に 象を透過電顕(TEM)によって調べた。数種 成長したもので、多孔質でありながら強度 の金属ナノ粒子の酸化による中空化現象を を保持したユニークな材料として国内外か 系統的に調べ、その生成機構を解明した。 ら注目を浴びている。これらのポーラス金 (1)酸化反応を利用した金属ナノ粒子の中 属の気孔はミクロンからミリメートルサイ 空化 Cu, Zn, Al,および Ni ナノ粒子を室温 ズで、マクロポーラス金属とも呼ばれてい ～400℃で酸化させ、酸化後の形態変化を る。このようなマクロポアの有用性をナノ TEM によって観察した。いずれの金属ナノ スケールにもたらしたならば、さらに革新 粒子においても、酸化によって中空状酸化 的な機能性を発揮する新材料を開発できる 物が形成されることがわかった（図）。 ことが大いに期待される。 ２．研究の目的 本研究では、固相における相互拡散のカ ーケンドール効果を利用してナノポア（空 孔の集合体）を生成させた金属ナノ中空球 および金属ナノチューブを創製し、その中 空化機構を解明することを第１の目的とし ている。さらに、創製された金属ナノ中空 球やナノチューブは超巨大な比表面積を有 するため、新規な物性が期待される。本研 究の第２の目的は新規な物性を探索し、発 現機構を解明すると共に新機能性材料とし ての用途の展開を図ることである。 ３．研究の方法 主に大阪大学超高圧電子顕微鏡センター 図. 酸化によって形成した中空状酸化物粒子を の設備を利用し、ナノ構造の評価・解析を 示す TEM 像。 (a)Cu を373 K で 60min、 (b) (d)Al 行っている。また、本研究資金で購入した を295 K で数分間、酸化させた後の粒子。 酸化 電子ビーム蒸着装置を用い、様々な金属ナ 後の生成物は、それぞれ(a)Cu2O、 (b) アモルファ ノ粒子を作製してい