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日野川の河道内植生に対する地域住民の意識調査と 樹木が洪水流に与える影響の数量的評価に関する研究 福井工業高等専門学校 環境都市工学科 廣部英一・田安正茂 １．はじめに 直下流）までの河道区間で，福井県が管理する指定 本研究で対象とする日野川は九頭竜川水系の1次 区間である． 支川であり，九頭竜川水系の河川整備計画は平成19 この河道区間には，局部的に堤防が低い箇所や洪 年2月に策定された．策定された日野川の河川整備 水疎通の障害となっている恐れのある橋梁等があり， 計画において，河道内樹木に関しては砂州が固定さ 戦後最大規模の洪水である昭和28年9月型洪水が発 れて樹木が繁茂していることが，河川環境の観点か 生した場合，九頭竜川合流点から 14km 付近，27km ら記載された．また，地域住民や河川利用者からは， 付近及び30km付近において，洪水の水位が計画高水 洪水時の水位上昇に与える樹木の影響への不安及び 位を超える恐れがあるとされている． 背丈以上になった草本や低木群落により水面への視 河道内の植生については，主にヤナギ群落やヨシ 界が遮られて水辺にも近付けないことから，植生管 群落等が繁茂しており，樹齢20年を経過する大木も 理が求められている．一方，河道内樹木は昆虫や鳥 存在する．このため，平成15年頃から部分的な伐採 類等の動物にとって多様な生息環境を育むと共に， が継続的に行われているが，樹木の生育が早いため 水生生物の必要不可欠な食物連鎖の役割もある．更 平成 21 年度には根系からの引抜による伐採が行わ に，人々に安らぎを与える等，重要な機能を有して れた． いる．このように，河道内樹木は「治水」・「環境」・ 河川空間の利用としては，下流部の高水敷が耕作 「景観」・「河川利用」等の観点において対峙する要 地として利用されている他，鯖江市の有定橋付近， 因となっている．洪水時に樹木は水位を上昇させる 越前市の万代橋付近において河川公園が整備されて が，具体的な影響の程度は示されていない． おり，サイクリングロードも整備されている． そこで本研究では，日野川を対象として地域住民 と河川利用者及び沿川住民にアンケートを行い，日 野川の河川整備に対する意識を調査した結果を示す と共に，日野川の河道内樹木が洪水流に与える影響 の数量的評価を行う． 日野川対象区間 15.60km～29.60km ２．日野川の対象区間 日野川は福井県と岐阜県の境に位置する笹ヶ峰を 源とし，南越前町から越前市街地を流下する．鯖江 市に入ってからは河床勾配が緩やかとなり西から吉 野瀬川を入れ，更に下流で西から和田川と天王川， 東から浅水川の3河川をほぼ同じ河道地点で入れる． 図2.1 九頭竜川水系と日野川対象区間 その後，東