山地流域の洪水流出に関する研究ⅠⅠⅠ.pdfVIP

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 香川大学虔学部学術報告 第31巻 第1号 67～82，1979 67 山地流域の洪水流出に関する研究ⅠⅠⅠ 鎌 田 萬，草 薙 義 一 Takashi KAMADA ilnd Yoshikazu KUsANAGl Valueof N andillustrate witb examples． Shikoku／s． 山地流域の洪水流出解析において，もっとも重要なものは，山腹斜面上を流れる雨水地表面流の流出機構を適確に把 捉することである． この研究に閲し，近年，Kinematicwave法が研究発展しているが，このうち，山腹斜面の等価粗度については， まだ，全国的な決定基準もなく，現在，この分野の重要な研究課題となっている したがって，本研究においては，中国地方，すなわち，岡山県は久賀ダム，広島県は小瀬川ダム，山口県は大坊ダム を選び，各ダム上流域の山腹斜面等価粗度の調査・解析を行なったいそして，雨水到達時間と降雨強度の簸定について は，新しく，香川大学FACOM6284Aディスプレイ装置とそのFACOM6876Cハ1－ドコピ一装置を用いる新手法を 採用した よそ，N＝0．29～0り38m￣1／きsec程度であることを明らかにした この値は，四国山脈に水源をもった高知県鏡ダムの値とも，よく近似していることも究明することができた したが・つて，これらの値については，それぞれ，中国地方を代表する値とも考えられ，全国的な決定基準の一頃料と もなり，また，それぞれの県においては，今後の防災計画に展墓な値として用いられるものと考察された OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 68 香川大学農学部学術報告 第31巻 第1号（1979） 1 ま え が き 最近，激化して：いる山地漢流の土石流災象また，地方都市周辺における中小河川の氾濫，および，内水災零の洪水 流出解析においでは，計画基準地点への適正な洪水到達時間の算定が不可欠となってこいる この適正な洪水到達時間の算定（さ）についでは，雨水流出ほ，山腹斜面上を流れる地表面流と河道を流下する河道流に 分類，解析することになっている そして，とくに・，一流域面積が狭少な山地渓流，および，中小河川においてほ，洪水到達時間は，山膜斜面を況下する 地表面流が支配的な要素となり，現在，この解析には，山腹斜面の等価粗虔についての調査，研究が必要となってい る この研究に閲し，前報く5・￠）においては，香川県ほ殿川ダムと前川ダム，帝知県は銃ダム，愛媛県は右手川ダムと玉川 ダムについて調査，研究を行なってきた したがって，本研究においては，中国地方を対象とし，岡山県は久賀ダム，広島県は小瀬川ダム，山口県は大坊ダム 忙つき調査，解析し，岡山県，広島県，山口県，すなわち，中国山脈における山腹斜面の等価粗虔を究明することと し，∵雨水到達時間と降雨強度の解析については，新しく，香川大学FACOM6234Aディスプレイ装置とそのFACOM 6876Cハ1一ドコピ・一装置を用いる新手法を採用することに．した卜 2 雨水流出の追跡 2－1 雨水到達時間の算定 雨水到達時間の算定については，前報（￠）で述べたごとく，石原・高綽が研究発表く1）してこいる理論的方法と筆者が提 唱く5・￠〉している実測雨盈と水位に・よる方法がある この実測雨盈と水位．による方法は，集水面積が小さく，管理設備が近代化している近年完成した防災ダムを選定し， その現地実測の水文資料（降雨屋とダム上流の流入水位変化）を用いて解析する手法であるハ すなわち，降雨が山頂から水位観測所までの雨水到達時間の解析についてほ，水位戯測所の水位記録が顕著に．現われ たピ・－ク時刻を基準とし，降雨は，その前後の降雨資料を用い，各単位時間ごとに，平均降雨強度を求め，降雨強度変 動囲（時刻－・降雨強度図）を解析する．そして，雨水到達時間の推定については，時間は，この降雨強度変動図と水位 変動図が相似する単