山陽小野田市厚狭地区における土地利用と洪水災害の変遷.pdfVIP

自然災害研究協議会西部地区部会報・論文集一36号、2012年2月 山陽小野田市厚狭地区における土地利用と洪水災害の変遷 山本晴彦＊・山本実則＊＊・山崎俊成㍉岩谷　潔＊・吉越　恒＊ 　　　　仙口大学農学部、＊㌔」口大学大学院農学研究科 1．はじめに 　2010年7，月12日から15日にかけて山口県から九州北部付近に梅雨前線が停滞し、15日には前線に 向かって暖かく湿った空気が流れ込み、未明から早朝にかけて前線の活動が活発となった。このため、 西日本から東日本にかけて大雨となり、各地で土砂災害や浸水被害が発生し、広島県（5名）、岐阜県（4 名）、島根県、鹿児島県（各2名）、長野県、福島県（各1名）で計15名の死者が発生した（内閣府、2010）。 　山口県においては、県西部を中心に200mm／6時間の局地的集中豪雨に見舞われ、厚狭川・木屋川など で外水・内水氾濫が発生し、県全体で約1500棟の家屋で浸水被害が発生した。とくに、厚狭川下流の 山陽小野田市厚狭地区（旧山陽町）では、盆地底に位置する本地区がほぼ全域で浸水する被害となった （山崎ら、2010）。ここでは、7月15日に山口県西部で発生した集中豪雨と河川水位の特徴、山陽小野 田市厚狭地区の浸水災害の概要、さらに厚狭地区における土地利用と洪水災害の変遷について報告する。 2．2010年7月15日に山ロ県西部で発生した集中豪雨の特徴と厚狭川における水位の状況 　図1には、7月15日の 0～12時までの12時間 の積算降水量を示したが、 田部周辺から美祢大橋ま での中国山地の南斜面側 にあたる南北約5km東西 約20kmの楕円状の局地 的な範囲で、200㎜前後 の短時間豪雨を観測した 　　　　　　　　　　　　庵 ことが分かる。図右下に は、厚狭川・木屋川流域 を拡大したが、上流では 集中豪雨に見舞われてい る反面、厚狭大橋（厚狭　o 地区）では100mm以下で 図1　7月15日の0～12時までの12時間の積算降水量 あり、下流では豪雨には 　　　　　　　　　　　　　　　時間降水量（mm） 遭遇していないことがわかる。 　　　　　　　　　　00　　130　200　340　230　160　125　58ρ　　50　　40　　00　　00 　　　　　　　　　7　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　20 　図2に見られるように、厚狭地区から北に10kmの　　6 ・避難勧告を発令 ・対策本。　設置 東厚保アメダスの10分間降水量からは降水帯の通過　　5 15 姻避難判断水位4m超過 　10 による・つの豪雨のピークがある．職ノ・「における厚蛋・ 　　5：鱒臼の慮 　分 　間 狭大橋の水位は夜中の3時に2mが9時20分には6．41　①、 10降 　沓 　器 mと夜間から早朝の約6時間で4．4mも増水している。　2 5　） 　図2　7月15日の0～12時までの東厚保アメダス 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1 　　　10分間降水量と厚狭川厚狭大橋における水位、 　　　避難指示の状況　　　　　　　　　　　　　　　　゜。 2 4