虐待的行為につながる心理的特徴について虐待心性尺度.pdfVIP

　　　　厚生労働科学研究費補助金（子ども家庭総合研究事業） 児童福祉機関における思春期児童等に対する心理的アセスメントの 　　　　　　　　　　　　導入に関する研究 　　　　　　　　　　　　分担研究報告書４ 虐待的行為につながる心理的特徴について ・虐待心性尺度（Parenta 　Abusive　Attitude　PAAlnventoryI）の開発に向けた予備的研究： 分担研究者　西澤哲，屋内麻里 【要旨】 　本研究は，虐待傾向のある親の心理的特徴を捉える 「虐待心性尺度」の作成を目的とする。 57項目からなる虐待心性尺度を作成し，辺0人の保護者を対象に調査を行なった。因子分析 の結果，6因子（ 「体罰肯定」， 「自己の欲求優先」，「自信喪失」，「被害的認知」， 「疲労・疲弊」， 「完壁志向性」）から成る虐待心性尺度試作モデルが作成された。このうち，「自信喪失」と 「完壁志向性」の2因子以外は，虐待行動と有意な相関が見られた。中でも虐待行動に最も 大きな影響を及ぼしているのは「被害的な認知」であり，この「被害的認知」は，虐待傾向 の強い者の中では被虐待経験を持つ者に特有の心理的特徴であることもわかった。 研究協力者（五十音順） 準化された調査票はいまだ開発されていない。 尾崎仁美 京都ノートルダム女子大学 そこで本研究では，虐待を行なう母親の心理的 上條史絵 大阪大学大学院 特徴に焦点を当てた尺度の作成を目的とする。 管生聖子 大阪大学大学院 田中るみ子 大阪大学大学院 B　研究方法 藤澤陽子 児童養護施設暁学園 1　対象者および調査方法 松原秀子 大阪大学大学院 　　某小学校での子どもの虐待に関する講演 山本知加 大阪大学大学院 　会に参加し，その場で説明された本研究の目 　的に賛同した保護者に質問紙を配布し，後日 A、研究目的 郵送により回収した。有効回答数は120だっ 　子ども虐待の早期発見や予防，虐待を行なう 　た。 親への援助を考える場合，虐待に至る親の心理 　回答があった120名のうち，男性は8名 的特徴を把握することは非常に大きな意義を 　（6，7％），女性は97名（80．8％），不明15名 持つと考えられる。しかし，わが国では，環境 　（12．5％）であり，大半を女性が占めていた。 的なリスク要因や社会的サポートに焦点を当 　また年齢は，20代が2名（L7％〉，30代が てた研究，あるいは身体的虐待に特化したスク 66名（55．0％），　40f　カ§44名（36。7％〉，　50f　 リーニングテストの報告（河村ら，2005〉など が8名（6．7％〉であり，30代と40代を合わせ が散見されるものの，さまざまな虐待につなが 　ると90％を占めていた。 る親の心理的特徴（虐待心性）を評価できる標 133 2．質問紙について C．調査結果 　（1）フエースシート 1．子どもの基本属性 　　回答者の性別 ・年齢層，子どもの性別 ・年 　回答者に選んでもらった子どもの男女比は， 　齢 ・出生順位を答えてもらった。なお，子ど 男の子52名（43．3％），女の子62名（5L7％）で 　もが複数いる場合には，子育てに最も手がか あった。子どもの年齢は，5歳以下10名（8．6％）， 　かった（かかっている）子どもを一人選んで 6歳～12歳84名（72．4％），13歳～18歳12 　答えてもらった。