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地方公共交通活性化における地域通貨の役割 下村 仁士（株式会社キューヘン） 本論の構成 問題意識 地域通貨の特徴と定義 地域通貨を適用した地方公共交通活性化の事例と構想 地域通貨の地方公共交通活性化への適用可能性 小括 １．問題意識 補完通貨 　　　1930年代の世界大恐慌期に見られた。 　　　　→1980年代の復活 　　?雇用の促進、地域の活性化、コミュニティの再生などの問題意識を背景に 　　　日本国内では、625の事例（2007年7月現在） 　　　※地域通貨全リスト（/list/）に示す数字 　　?最近の事例 　 　地域通貨を地方公共交通の活性化に適用しようとする事例や構想 地方公共交通の現状 　　?不採算路線の廃止や存続問題の表面化に地域社会が直面 　　?交通事業者、公的部門、地域社会の三者の協力で、地域公共交通の活性化を目指す諸施策が見られる。 　　※利用者の増加や運行支援（費用負担を含めて）などの施策がほとんど 　　?地域通貨の適用事例 　　　　→これまでにない地方公共交通の活性化への方向性 　　地域通貨は地方公共交通の活性化において、どのような役割を果たすか？ ２．地域通貨の特徴と定義 地域通貨の特徴 　?より一般的には補完通貨と呼ばれることから、ここでは補完通貨の特徴について議論する。 　　?ここでの議論：マクロ経済学の教科書で言う「貨幣の機能」に属する。 　　※貨幣の定義について議論する場合は、貨幣の需要と供給の概念に実際に相当する「貨幣の範囲」の属することが多いため。 貨幣の機能 　　「交換の媒体」「価値の貯蓄」「価値の基準」 　　　補完通貨は「交換の媒体」「価値の基準」に特化 　　【その背景】 　　　「価値の貯蓄」と、利子がもたらす諸問題 　　?「価値の貯蓄」がもたらす問題 　　　貨幣にはそれを保持しつづけようとするインセンティブが存在する。 　　　→貨幣の流通を阻害する要素。 　　減価式地域通貨のように持越し料金を課すことで、「貨幣を保持することへのディスインセンティブ」を組み込んで、貨幣の流通を促進。 ２．地域通貨の特徴と定義 　　?利子がもたらす問題 　　　?「競争の促進」：Lietaer［1999］の指摘 　　　利子を伴う金融システムが、競争を生み出し自発的な協力を失わせる。 　　　補完通貨が「交換の媒体」としてのみ用いられたり、コミュニティを活性化し協働の促進を指向するとき、そこには利子は必要ない。 　　　?「持続可能性」 　　　金融システムそのものの持続可能性 　　　無限に複利を課し指数的に経済を成長させることは不可能である。 　　　投資行動への影響 　　　短期的ビジョンによる投資行動が有利となり、長期的観点による投資行動が不利になる。→将来の価値は低く評価 　　　持越し料金が課される補完通貨：負の利子と同じ→将来の価値は高く評価 ２．地域通貨の特徴と定義 地域通貨の定義 　?わが国では公的に明確化された定義は存在しない。 　　法務省?金融庁の見解：「地域通貨の定義は必ずしも明確ではなく、その発行スキームは、発行主体によって多岐に及ぶ」 　?しかし、既往研究からは、地域通貨を定義づけすることが可能。 　　→共通の概念と問題意識 　?西部［2002］による、地域通貨の定義。 　　①　特定の地域内（市町村など）、あるいはコミュニティ（商店街、町内会、NPO）などの中においてのみ流通する。 　　②　市民ないし市民団体（商店街やNPOなど）により発行される。 　　③　無利子またはマイナス利子である。 　　④　人と人をつなぎ相互交流を深めるリングとしての役割を持つ。 　　⑤　価値観やある特定の関心事項を共有し、それを伝えていくメディアとしての側面を持つ。 　　⑥　原則的に法定通貨とは交換できない。 ３．地域通貨を適用した地方公共交通活性化の　　事例と構想 地域通貨と地方公共交通との関係 　　　地域通貨を地方公共交通の活性化施策に適用しようとする事例や構想が近年見られる。 わが国の地方公共交通の問題 　　不採算路線の廃止や存続問題の表面化 　　?活性化と再生が喫緊の課題 　　?地方公共交通の役割に対する積極的評価 　　　地域づくりのツール 　　　環境問題への貢献 わが国の地域通貨 　　地域の活性化とコミュニティの再生を指向。 　　　地域通貨と地方公共交通の活性化：共通の方向性と問題意識 　　　両者の連携の可能性 ３．地域通貨を適用した地方公共交通活性化の　　事例と構想 地方公共交通での地域通貨の利用 地域通貨「ペパ」 　　【誕生の経緯】 　　?新聞リサイクルシステムから生まれた地域通貨 　　?新聞紙リサイクルと地域通貨を組み合わせた新聞リサイクルシステム 　　?2002年11月に福岡