別紙第3国家公務員制度改革等に関する報告-人事院.PDFVIP

別紙第３ 国家公務員制度改革等に関する報告 国家公務員制度改革については、国家公務員制度改革基本法（以下「基本 法」という｡ ）に定める改革を具体化するための国家公務員制度改革関連４法 案（以下「４法案」という｡ ）が、昨年６月、通常国会に提出され、継続審査 とされた後、今国会に至っている。 本院は、４法案の国会提出に先立って、昨年４月に内閣総理大臣に対し、法 令として措置すべき事項等に関する 「国家公務員制度改革についての意見」を 提出し、また、４法案の提出後は、昨年９月の給与勧告の際の報告において国 家公務員制度改革の議論の前提となるべき基本認識や４法案の論点を整理し、 提示した。次いで、本年６月の「平成23年度年次報告書」においては、諸外国 の労使交渉の仕組みと実態等を紹介し、これを踏まえた４法案の論点を提示し た。 ４法案が定める改革案は、国家公務員制度の基本的な枠組みである労使関係 制度や幹部公務員人事などの変更を行うものであり、国民生活に与える影響も 大きいことから、その目的や効果、影響等についての十分な検討を経て、関係 者や国民の理解と納得の下で議論が行われるべきである。しかしながら、４法 案の内容については、これまでに必ずしも国民的な議論が行われたとはいえな い状況にあり、今後、国会等の場において十分な議論が尽くされることが必要 である。 なお、本院は、毎年、様々な分野の有識者から国家公務員及び国家公務員制 -1- 度に関する率直な意見を伺う機会として、主要都市において有識者との懇話会 を行っている。本年実施した懇話会においては、国家公務員制度改革について、 改革は必要であるとの意見がある一方で、改革に関してはより広い視点からの 理念が不可欠である、改革がどのような考え方に基づいて行われているのか見 えにくいとの意見が示されている。 これらを踏まえ、以下において、国家公務員制度改革の理念と本院の認識を 示すとともに、国家公務員制度改革についてのこれまでの経緯を振り返り、４ 法案が定める改革案に関し特に重要と考える論点を改めて提示する。このほか、 高齢期における職員の雇用問題及びその他の人事行政上の諸課題についても、 本院の基本的な認識と取組状況を併せて報告する。 第１ 国家公務員制度改革についての基本認識 １ 国家公務員制度改革の理念と本院の認識 国家公務員の使命は、憲法の定める「全体の奉仕者」として、国家・国 民のために高い志気の下で公正に職務を遂行することである。国家公務員 制度の目的は､ 「国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基 準」を確立することにより､「国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運 営を保障すること」にあり（国家公務員法第１条第１項）､ 国家公務員制 度の改革も、このような基本理念の下で行われるべきである。 国家公務員制度については、社会経済情勢の変化に対応できるよう、適 時改革を行っていくことは当然である。その際には、公務員を国民全体の 奉仕者と位置付けている憲法の基本理念の下で国家公務員法において定め られているメリットシステム（成績主義）等の基本原則を踏まえ、現行の 国家公務員制度の問題点を明確にした上で、それに的確に対応した実効性 -2- のある改革案を検討し、あわせて国民にもたらす利害・得失も検証するこ とが重要である。 ２ 国家公務員制度改革の経緯 近年の国家公務員制度改革の経緯をみると、平成19年の国家公務員法改 正により、新たな人事評価制度や各府省による再就職あっせんの禁止等の 規制が導入された後、平成20年には基本法が制定された。基本法では、議 院内閣制の下で国家公務員がその役割を適切に果たすこと、多様な能力及 び経験を持つ人材を登用し育成すること等の改革の理念とともに、内閣人 事局の設置、幹部職員人事の一元管理、自律的労使関係制度の措置等の改 革を行うことが盛り込まれた。 この基本法の定める改革を実施するため、平成21年９月の政権交代を挟 んで平成21年３月及び平成22年２月に、内閣人事局の設置、幹部職員人事 の一元管理等を内容とする法案が２度にわたって国会に提出されたが、い ずれも廃