学生の基礎看護技術自己評価についての一考察-2回の実技試験の結果より一.PDFVIP

岡大医短紀要,5:29-35,1994 Bull.Sch.HealthS°i.OkayamaUniv. (原 著) 学生の基礎看護技術自己評価についての一考察 -2回の実技試験の結果より一 大井伸子 近藤益子 池田敏子 循永順子1) 中西代志子 前田真紀子 高畑晴美 高田節子 要 約 我々は,基礎看護技術の2回の実技試験の結果より,学生の自己評価能力について検討した｡ 1.2回の実技試験共,学生の自己評価点は教官評価より,約 1点高かった｡ 2.2回目の実技試験の方が,自己評価と教官評価の一致率の高い者が有意に多かった0 3.3分の1の学生が,2回の試験共過大評価の方が多かった｡ 4.高い一致率を示した評価項目の多くは,評価の視点が明確な動作のものであった｡ 5.低い一致率を示した評価項目の多くは,評価の視点が判断を必要とするものであったO キーワード:自己評価,基礎看護技術,実技試験 は じ め に 自己評価内容を分析し,その結果について若干の 自己評価とは,肯定的であれ否定的であれ,自 考察を加えたので報告する｡ 分が自己を評価することであり,自己を客観的に 見つめ正しく評価することは,重要なことである｡ 対 象 と方 法 看護教育の目標の一つとして,学生に専門職業 1.対象 人として必要な知識や技術を修得させるというこ 平成4年度入学の岡山大学医療技術短期大学部 とがあげられるが,その中で専門職業人として自 の看護学科の学生57人である｡ 己を正しく評価することを身につけていくことも, 2.万法 大切なことである｡自己評価を行うことは,自分 学生の自己評価については,基礎看護技術の実 自身についての探求と再検討を行うことによって 技試験直後に行ったものを用い,それが適切か判 自己を再発見することであり,現在教育現場にお 断する指標として,その時の同一チェック表によ いても,適切な自己評価の必要性についての関心 る教官評価を用いた｡前後2回行った項目内容を が高まっている｡当学科の基礎看護技術において 異にする実技試験について,学生の自己評価と教 もそれを取り入れ,実技試験終了直後に学生に自 官評価の内容の比較検討を行った｡ 己評価を行わせている｡しかし,学生の自己評価 第 1回日の実技試験は,1年次の後期末の2月 内容を見ると,自己評価が適切にできている者も に実施し,試験内容は 『清潔包一消毒包を開け清 いれば,自己を過大･過小視している者等,様々 潔に中に入っている器具を取り出し,使用後消毒 な内容である｡ に出せるような状態に消毒包を作る操作』であっ そこで今回,学生の自己評価能力の向上を考え た｡第2回目の実技試験は,2年次の前期末であ ることを目的とし,過去2回の実技試験の学生の る9月に実施し,試験内容は 『無菌操作一銀子で 岡山大学医療技術短期大学部看護学科 1)岡山大学医学部附属病院 -29- 大井 伸子他 カスト内の注射器を取り出し,注射針をつけるま 2.評価の一致状況について での操作』であった｡実技試験は学生を無作為に 1)評価の一致率について (図2) 6組に分け,各組 1名の教官が評価表を用いて採 点した｡学生の自己評価については,実技試験終 (人) ●ー消毒包 了直後に,教官と同じ評価表を用いて自己採点を