中国における環境汚染未然防止法制度「三同時」制度の特質と機能を.pdfVIP

中国における環境汚染未然防止法制度 : 「三同時」制度 Title の特質と機能を中心に Author(s)孟根巴根 Citation 316[157] Issue Date2010-11-30 DOI Doc URL /2115/44550 Right Type bulletin (article) Additional Information File HLR61-4_008.pdf Information Instructions for use 研究ノート 中国における環境汚染未然防止法制度 ── 「三同時」制度の特質と機能を中心に ── 孟　根　巴　根 目　　次 はじめに 第１章　三同時制度の形成および展開 　第１節　三同時制度の提起・定着化段階 　　１　三同時制度の提起 　　２　三同時制度と環境アセスメント制度の並置 　第２節　三同時制度の拡充・具体化段階 　　１　三同時制度の適用範囲の拡張 　　２　手続的内容の設定 　　３　認可期限の追加 　　４　環境保護設計手法の明確化 　第３節　現行法令による確認・強化段階 　　１　89年法による確認 　　２　三同時制度の強化 　　３　98年条例による確認 　　４　建設プロジェクト竣工検査手法の詳細化 　小括 第２章　三同時制度の基本構造 　第１節　三同時制度の骨子 　　１　目的・役割・適用範囲 　　２　三同時制度の内容 　　３　新規建設プロジェクトの着工手続 　第２節　三同時義務違反の法的責任 　　１　事業者に対するサンクション ［103］ 北法61（4・370）1568 中国における環境汚染未然防止法制度 　　２　その他関係主体に対するサンクション 　第３節　三同時制度と環境アセスメント制度の関係 　　１　現行法上の関連規定 　　２　手続上の煩雑な関係 　　３　両制度の処罰規定の混沌 　小括 第３章　三同時制度の運用の実態 　第１節　三同時制度の実施状況 　　１　公式発表による実施状況 　　２　汚染源および規制管理状況 　　３　環境保護総局による三同時実施検査 　　４　連続法執行キャンペーン 　第２節　実施されない三同時制度の原因分析 　　１　三同時制度の内在的欠陥によるもの 　　２　三同時制度の外在的要因によるもの 　小括 むすびにかえて はじめに 　中国は、1970年代以降の改革開放に伴い、「世界の工場」といわれるほどの 急速な経済成長を成し遂げつつある。しかし、それは、世界の４％を占めるに すぎないGDPを創出するために消費した鋼鉄・石炭・セメントが世界総消費 量のそれぞれ30％・31％・40％を占めるなど、エネルギーや資源を大量に消費 することによって成り立っている1ことはまぎれもない事実である。このよう な粗放的経済開発の結果、先進国では約100年にわたる工業化の過程において 段階的に発生してきた環境問題が、中国ではわずかこの30年間に集中して生じ ている2。その結果、急速な工業化・都市化はともかく、生態系の破壊、資源の 1 潘岳「環境保護与社会公平」中国環境年鑑編集委員会編『中国環境年鑑』（中 国環境年鑑社、2005年）555頁。 2 解振華「構建新時期環境戦略」中国環境年鑑編委会編『中国環境年鑑』（中国 環境年鑑社、2005年）550頁。 北法61（4・369）1567