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何があっても割り付けどおりに解析する 佐藤俊哉 1 2 , 松岡 淨 1 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療統計学 2 藤沢薬品工業株式会社 （2001 年 9 月 15 日日本行動計量学会にて講演） 佐藤: みなさん、おはようございます。京都大学医療統計の佐藤です。 松岡: おはようございます。藤沢薬品の松岡です。 佐藤: 今日は、松岡さんと一緒に、医学における典型的な実験データである、「臨床試験」 について、わたしたちがふだんどんなことを考えているのか、どのようなアプローチをとっ ているのかをお話ししたいと思います。 今日のおはなし 臨床試験とガイドライン Intention-to-treat の原理 欠測データについて まとめ 2 佐藤: 今日のおはなしの構成ですが、まず最初に、松岡さんから、臨床試験っていったいど んなことをしているのか、その概略を説明してもらいます。 松岡: そんな大それたお話しはできませんが 、佐藤先生よりはだいぶ臨床試験の経験が ありますので、かいつまんで説明させていただきます。 佐藤: よろしくお願いします。 それから、臨床試験データで非常にひんぱんに起きる 2 つの問題についてお話ししま す。 ひとつは intention-to-treat と書きましたが、この「intention-to-treat」という用語を聞いた ことのある方はどのくらいいらっしゃいますか、ちょっと手を挙げてみてください。 Intention-to-treat というのは、医療統計、生物統計を専門とされている方でも、きちんと 理解している人は多くないのではないかと思います。どんな考え方なのかは後のお楽し 1 みとして、最後に欠測データのことをお話ししたいと思います。 それでは、松岡さんに臨床試験の概略を説明していただきましょう。 臨床試験 人に対する実験 肉体的侵襲あり 科学的であると同時に 倫理的であることが要求される 様々なガイドライン、規制、法律 3 松岡: 臨床試験がほかの分野、工業ですとか農学ですとかの実験と一番異なっている点 は、人に対する実験だということだと思います。 もちろん、心理学ですとか、行動科学領域の実験でも人間を対象といたしますけれど も、臨床試験ではこれに肉体的な侵襲が加わるわけです。 ですから、科学的な臨床試験を実施しなければならないのはもちろんなのですが、そ れと同時に試験に参加していただく患者さんの人権やプライバシーに配慮した、倫理的 な実験であることも要求されるわけです。 このため、臨床試験を実施する際に守らなければならない様々なガイドラインですと か、規制、法律が定められています。