2010年度-新潟大学法学部.doc

政治制度論の試験問題と成績評価状況（新しい順） ２０１５年度　　特殊講義（政治制度論）　　試験用課題（２０１５年８月６日実施） 　デモクラシの制度化を問う次の２つの課題から１題選択しなさい。柔軟に発想し、緻密に論じること。 解答用紙の左上に選択した問題の記号を大きく明記すること。記載がない場合には減点する。解答に関係ない記述があれば、相応ないし相当に減点する。なお、メモ用紙は提出しなくていい。 Ａ　現行制度では、市町村議会議員は住民による選挙で選ばれる。これに対し、市町村議会議員を抽選で選ぶべきだという提案が出された。この提案の是非を論じなさい。なお、都道府県議会議員や国会議員を同様の方式で選ぶ場合の是非を論じる場合には内容に応じて加点する。 　参考までに、その提案で示された選出手続を挙げておく。それは裁判員の選出方法を参考にしている、概要は以下の通りである（是非を論じる上で選出手続の検討が必要ならば、その記載内容に応じて加点する）。 　１．議員の任期が終了する前年の適当な時期に（ほぼ１年前）、選挙区ごとに市町村の選挙管理委員会がくじで選んで作成した名簿に基づき、翌年（次の任期）の議員候補者名簿を作成する。名簿が作成される時点で、候補者に優先順位が付けられる。なお、解散（リコール成立の場合等）に備えて、その次の候補者名簿も作成される（非公開）。 　２．選挙管理委員会は、この議員候補者名簿に登録された市町村民に登録されたことを通知し、併せて客観的で合理的な辞退事由の有無をたずねる調査票を送付し、その返送を待って、明らかに議員職に就けない人を当該名簿から削除し、名簿を完成させる。 　３．選挙管理委員会は、登録された市町村民に選出された旨の通知を送る。その際、再度客観的で合理的な辞退事由の有無が照会され、辞退事由がなければ、当該市町村民は次の任期から議員に就任する。 　４．議員活動に必要な諸手当?諸経費はこれまで通り議会が決める。 　Ｂ　選挙権は、主権者である国民の権利であると考えられていながら（ここでは選挙参加を公務であるとみなす考え方を必ずしも検討しなくていい）、実際には成人年齢などを考慮した年齢が権利付与の主たる基準となっている。従って、年齢条件を満たさない者（以下、未成年者）には投票権は与えられない。 　これに対し、親権者に子どもの数だけ投票権を与えることで、未成年者に間接的に投票権を与えようとする考え方があり、発案者の名前をとって、ドメイン投票方式と呼ばれることが多い。このドメイン投票方式の是非を原理上及び政策上の観点から論じなさい。 １．子どもが１人の３人家族の場合、父親と母親が各々１．５票を持つと考えておく。 　２．ここでは、親権者とは、未成年の子に対し、親権をおこなうものをいい、親権とは、成年に達しない子を監護、教育し、その財産を管理するため、その父母に与えられた身分上及び財産上の権利?義務の総称としておく。従って、未成年で婚姻している者、また親権をおこなう者がいない者については必ずしも考察しなくていい。 ３．日本国憲法第15条第３項「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」、同第４項「すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない」との抵触（違憲）可能性は考えなくていい。 受験条件　　「世論調査」の結果?持ち込み不可 出題の意図と採点のポイント（個別の講評を含む） 【全体の講評】 ?　Ａ、Ｂを選択した者はそれぞれ９４名（６７％）、４７名（３３％）だった。問題作成時は、Ｂの方が論点が少なく、見えやすいので書きやすいと考えていたが、そうではなかったようである。それに、Ｂの方は加点要素が少ないかも知れない。なお、今年度は８月中旬以降、行政書類の作成など雑用が多く、以下の表記が例年以上に、誤字や誤記のチェックが行えていないこと、羅列になりがちであること、重複が少なくないだろうこと、誤字?（ワープロ）誤植などを校正できていないだろうことを了解されたい。これを作成するのに丸２日かかっている。なお、記号を記さなかった者が２名いた。書かなくても分かるだろうというのは言い訳にもならない。公務員試験などだとどのように措置されるのかを考えればいい。このような形式不備は自慢できない。ちなみに大学のある種の審査では、このような形式不備だと対象外として扱われる。 ○　採点は、この試験に限らず、３回付けることにしている。どうしても、最初に採点する答案は、その時々によって採点が甘くなったり、厳しくなったりするからである。２回は独立して点数を付け（採点基準も異なる）、その上で３回目に最終チェックする。その際には加点要素を「懸命に」探す。少々論点の指摘が抜け