磁性体カプセルの熱的構造に関する研究 - www-x.phys..pptVIP

* 磁性体カプセルの熱的構造に関する研究 東京都立大学 理学部　物理学科 宇宙物理実験研究室 横田　渉　 本研究について ソルトピル内部構造に生じる温度差を小さくする。 実験室における断熱消磁冷凍機(ADR)への要求 より低温 (～100 mK)に冷却ができること。 より長い時間 (～24 h)で目標温度を保持できること。 目的 冷媒となる磁性体カプセル（ソルトピル）内部の熱伝導、 (磁場と消磁開始温度 etc.)　が重要となる。 　現状での熱伝導度の見積もり 　アニーリングによる金線の熱伝導度の向上 取り組んだこと 現状のソルトピルの構造 ヒートスイッチ側 Detector側 Cu棒 Cu棒 常磁性体結晶 （FAA=鉄ミョウバン or CPA=CrKミョウバンを想定) SUS筒 (内径φ22mm) ガラスエポキシ 金線160本 11cm 熱伝導度G [W/K] 流入熱P[W]があった時にΔT=P/G の温度差が発生する。 → G 大きいほうがよい (P=1μW、ΔT=1mKの場合G=1mW/K) Au wire （電気抵抗率ρ） P 断面積A 長さ ｌ 金線の数 n [本]、直径r [m]とするとA=nπr2 Aを固定したとき、G∝1/ρ　なので電気抵抗率を小さくすることが重要 Wiedemann-Franz law A[m2]:断面積, T[K]:温度, l[m]:金線の長さ（11cmで固定） ρ[Ωm]:電気抵抗率, L=2.45×10-8 [WΩK-2]：ローレンツ定数 現状での熱伝導度 金線の本数 n=160 本 金線の径 r=0.1 mm 金線の抵抗率 ρ=3 n Ω m @ 4.2 K 熱伝導度の理論値 　G=nπr2LT/l ρ = 0.058 mW/K (T=100 mK) 熱流入の実測値 P=9 μW 熱伝導度の実測 G’=0.17 mW/K (T=330 mK) 　ΔT=P/G=155 mK (T=100 mK) ?熱伝導度を10倍以上よくしたい 　　　　　　　　　　　　　(熱流入も～1 μWまで小さくしたい)　　　　　 アニーリングの原理と方法 金線中の不純物(Fe等)の磁気的干渉によって4.2 K (液体He 温度)で電気抵抗率が制限される。 ? 高温（800℃～1000℃）空気中で焼きなますことに　　　　 　より不純物が酸化し、電気抵抗に寄与しなくなる。 　 アニーリングをほどこす金線 メーカー 品名 純度 直径 Lot No. 田中貴金属工業 AU線 99.99% Φ0.2mm G5111610 測定用の金線 (長さ～25 cm) アニーリングに使用した電気炉 アニーリングによる電気抵抗率の改善 電気抵抗率 (nΩ m) 10 1 0.1 電気抵抗率 (nΩ m) 1 0.5 0.2 0.1 0 5 10 アニーリング時間 (hour) 700 800 900 1000 1100 アニーリング温度 (℃) アニーリング温度 800℃で固定 アニーリング時間 10 hで固定 現状のソルトピル 1000℃、10時間のアニーリングによって ρ が10倍よくなった まとめ ソルトピルの熱伝導度について考察した 　　熱流入を下げ、熱伝導度を上げることが重要 アニーリングによって電気抵抗率を1/10にできた 　 ΔT=155mK →　15mKにできるはず 今後、実際にソルトピルを作成して検証する。 本研究について 断熱消磁冷凍機の冷媒として使用する磁性体カプセルに生じる温度差を小さくし、目標温度を保持できる時間を長くする。 　現状での熱伝導度の見積もり 　アニーリングによる金線の熱伝導度の向上 断熱消磁冷凍機(ADR)の冷媒として使用する磁性体カプセルにおいて、熱流入を結晶へと十分に伝えていないと、温度差が生じてしまうばかりでなく、カプセルを目標温度で維持できる時間を減少させてしまう。 目的 金線の目標パラメータ が金線のパラメータとして決定でき、この時の金線の半径rwire 現在使用しているのはrwire=1.0×10-4[m]であり、半分の半径をもつ金線が 必要と考えられる。 熱の流れのモデル 熱の流れ Gwire Gboundary GCPA CPA wire 金線一本の周りをCPAの結晶が円筒状にあると考える。 金線部分の熱伝導度 ： Gwire