2005年度 公开讲座「楽しい数学」.doc

2005年度　公開講座「楽しい数学」 １．閉曲線の回転指数 閉曲線とは書き初めと書き終わりの点が一致した曲線で向きがついたものです。もちろん線どうしが交わってもＯＫです。この章と次の章では、どこにも角がないような滑らかな閉曲線を考えます。 閉曲線上を歩いたとき、私たちは何回転するか考えていきましょう。但し反時計回りに回るときは＋、時計回りに回るときには－にします。 人間の代わりに下の図のように曲線に接するように鉛筆を動かしてみましょう。 閉曲線 回転数 ２．特異点 鉛筆を動かしていったときに水平になるような点（特異点）に名前をつけます。 図１ 閉曲線を極大点と極小点で切って、いくつかの弧に分割します。 図２ 各々の弧で鉛筆がどれだけ回転するかを見ていきます。この弧をたどっていっても一回転することはないので始点と終点での鉛筆（以下では接ベクトルと呼んで矢印で現します。）の方向が正か負を見ればよいことになります。 例 極大点と極小点に下記のように符号をつけます。 　　　　＋　　　　　　　　－ 　　　　　　　　　＋　　　 　　　　　－ （極大点で反時計回り）（時計回り） 極大点、極小点で切り取った弧は次の８パターンのいずれかになります。 曲線 接ベクトルの変化した角度量 ０° 始点の符号＋終点の符号）/2 ０ 図２のように閉曲線上４つの特異点A,B,C,Dがあったときには 回転数×360＝AからBの角度の変化量＋BからCの角度の変化量 ＋CからDの角度の変化量＋ＤからＡまでの角度の変化量 ＝(（Aの符号＋Bの符号）/2+（Bの符号＋Cの符号）/2+（Cの符号＋Dの符号）/2 +（Dの符号＋Eの符号）/2+（Dの符号＋Aの符号）/2)×180 =（Aの符号＋Bの符号＋Cの符号＋Dの符号）×180 となります。 一般に回転数は （特異点の符号の和）/２ となります。 もう少し書き直すと 回転数＝（正の特異点の数―負の特異点の数）/２ となります。初めの例で＋の特異点の数と－の特異点の数から回転数を計算してみよう。 ＋の数 －の数 回転数 ３．折れ線の外角と回転数 滑らかな閉曲線と同様に四角形の回転数を数えます。辺の上で接ベクトルを動かしても角度は変化しません。角度が変化するのは頂点の上のみです。 外角の和＝回転数×360＝360　（１） 各頂点で　外角＋内角＝180°なので 外角の和＋内角の和＝180°×頂点の数　　（２） (1),(2) より 内角の和＝頂点の数×180°－360°（回転数×360） 頂点（交点は含まない）の数がn個の折れ線の閉曲線について、この結果を一般化していこう。多角形と同様に外角は定義できます。外角に＋、－の符号をつけます。 各頂点での内角＝180°－符号付き外角　とします。 例 回転数と内角の和の関係について下記の例で確かめてみよう。 90°の内角が　　　　　個あって、270°の内角が　　　　　個あるので 内角の和は 回転数は 頂点の数は 頂点の数×180°－（360×回転数）＝ よって 内角の和＝頂点の数×180°－（360×回転数） となります。 - 6 - ＋ － 極大点 極小点 A B C D ＋の外角 ―の外角 内角は180°－(－110°)＝290° 内角は７0° 110° 110°