第四章から第六章.doc

『はじめてのジェンダースタディーズ』森永康子、北大路書房 発表者：武内 第四章　家族の変遷とジェンダーのゆくえ 家族って何だろう 　「家族」という言葉に一般的なイメージがあり、それは個々の家によって違い、今属している家族でさえも違う。私たちは家族のあり方が歴史的に変化してきたことも知っている。イメージと現実の間にはズレがあり、イメージそのものも変化してきている。 「近代」という区分 　　家族のイメージについて必ず用いられるキーワード「近代家族」で説明されるのは、家族のイメージや具体的なあり方が「近代」に入って大きく変化したということだ。その特徴として“家族のあり方が、労働の領域と切り離されるということ”と、“それに伴い、村や町全体との繋がりが薄くなり、家族がプライベートなものになるといくこと”、“特に子供の存在を中心としながら、愛情や親密性という感情的な繋がりがとても重視されるようになったこと”があげられる。 「家庭」という言葉 　大きな役割を果たした人として知られる巌本善治は西洋的な愛情で結びついた家族を望んだ。そして、日本の家庭に「和楽」をもたらすためには、夫婦にと子供だけで生活することが必要だと説いた。こうした考え方が新しかったのである。 　その後『家庭雑誌』で、子ども自身の性質というものがあるのだから、それを大切にするように薦められ、「家庭」という場に愛情を発生させることになったのである。 　「家庭」という言葉は、家族の「改良」の方向性を示すキーワードとなった。 家族と国家「良妻賢母」 　「良妻賢母」には大きく分けて“主婦／伴侶”と“教育する母”の二つの役割がある。これは、女子教育と結びつきながら近代家族を支える女性の理想形として流通するようになった。 　この展開で近代社会は「家族」が“私的な場に変化したこと”と、“国家の基礎となるということ”が結び合わさり成立してきた。そして、その条件となってきたのが“女性が家庭を守り、男性が外で働く”という枠組みである。 家族イメージの変容 　　私たちが目の前にしている家族のあり方は多様化し、家庭におけるそれぞれの役割も変化してきている。また家族の生活形態も変化し、結婚や自立についての考え方が変化してきた。しかし、それが決して否定的なものではない。規範性は薄れ、異性愛の夫婦を基盤とする考え方も同性愛のパートナーシップを基盤とした家族も考え方は変化し、それぞれの生き方により、それぞれの形が生まれてくるだろう。 　私たちは、ジェンダーにより規制されてきた役目から自由になり、それぞれに合った形で人との関係を育んでいくことが大切である。 主婦とはどういう存在なのか 「男は仕事、女は家庭」？ 　多くの女性が「女は家庭」という考え方に縛られない「新しい生き方」を模索している。それは「家庭的であることが女らしさ」であり、「たくましく稼げることが男らしさ」であるという、社会的?文化的に形成された性の歴史の一面を見ることである。 増えている働く主婦 　「男は仕事、女は家庭」という“考え方”は支持を失っているが、実生活で「女は家庭」が続いており、働く女性は「仕事と家庭」の両立に苦労している。しかし、「専業主婦」率は減少し、「働く主婦＝兼業主婦」が多数派となっている。 近代家庭の誕生と主婦 　「近世」の封建制社会から「近代」の資本主義社会へという、社会のしくみの変化が「家庭生活に責任を持つ主婦」という存在を登場させたのである。 高度経済成長と「主婦への憧れ」 　女性教員の育成といった政策もあったが、太平洋戦争による「男不足」で女性の職場進出、日本国憲法による「離婚並びに婚姻及び家族に関する両性の本質的平等」の制定が女性の社会進出の重要な展開となった。 　高度経済成長は農村労働力の過剰と成長する都市の労働力不足を生み、農村から多くの人々を農村から都市へと移動させ、都市には農村での労働から切り離された大量の女性が生み出された。 一方、男性賃金の一定の上昇という重要な変化ももたらした。そして「職場からの女性の排除」が重なり、多くの女性は結婚をして男性の収入に頼るほかの道もなくなる。 　経済的要因の中に上流階層を象徴する「主婦のいる家庭への憧れ」やアメリカ文化の浸透による「主婦のいる豊かな家庭への憧れ」を高めた。 変化していく主婦 　急速な専業主婦の拡大は、社会のあり方に与えるインパクトが強く「主婦論争」が行われた。一次は女性の「職場進出」そのもの、二次は家事労働の「経済的な価値」、三次は「専業主婦でいることの価値」、四次は兼業主婦における「仕事と家事の両立」を主題としている。それらをきっかけに「働くことの意味」「仕事と家庭」の関わりを考えさせられる。 あなたは主婦を選択するか 　結婚し「主婦になる」ことが「永