21世紀COE先端地球惑星科学セミナー報告.docVIP

講演課題：日本海のデータ同化モデリング 講演者：広瀬　直毅　助教授 所属：九州大学　応用力学研究所　 日時：2006年11月21日（火）13:00-14:30　 場所：物理A棟6階604号室（COEセミナー室） （講演者の紹介） 広瀬博士は大学院在学中より日本海の熱収支問題や数値モデリングに取り組まれ，日本海の循環モデルへの衛星海面高度計データの同化の研究によって理学博士の学位を授与されました． （原題 Assimilation of satellite altimeter data with circulation models of the Japan Sea） 博士課程在学中に日本学術振興会特別研究員を，また修了後には米国ジェット推進研究所のポスドク研究員を務められました．その後，平成13年4月に九州大学応用力学研究所助教授に赴任され， 現在に至っています． （講演内容） 今回のご講演では，氏の最近のご専門であるデータ同化の理論的な基礎とその応用例を，幾つかかいつまんでご紹介いただきました．観測資料と数値モデリングの融合に対する必要性の高まりとともに，データ同化に対する期待も年々高まっていますが，本学の海洋物理学研究グループでは特にその技術面に対する馴染みがこれまで薄かったので，この機会に専門の研究者からその基礎的な理論を学べたことは大いに有意義であったと思います． また，氏が所属される九州大学では，このデータ同化を柱とする日本海の数値モデリングに長らく力を入れていますので，その最近の成果も幾つかご紹介いただきました．海況予測の結果の例として，近年，報道を賑わわせている大型クラゲの漂着問題に関するシミュレーションや，同研究所が1990年代から観測を続けている対馬暖流の流量が日本海沿岸における冬季の降雪量が良い相関関係にあるという結果が示され，身近な対象ということもあって，特に聴衆の興味を集めていました． また，ご講演後には，日本海の古海洋環境に関する参加者からの熱心な質問もあり，modern ocean を専門とする氏は想定外の鋭い質問に少々唸りながらも，ご自身の考えを率直に披露されていました．氏によれば，ご所属の研究所には本学の地球科学系のような部門が存在しないこともあって，今回の来学は，そう言う意味でも大変刺激になったとのことです． 寄稿：木津 昭一　理学研究科助教授　地球物理学専攻 セミナー風景 東北大学21世紀COEプログラム「先端地球科学技術による地球の未来像創出」 広瀬 直毅 助教授