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福島第一原子力発電所 事故による放射能汚染 検査装置の開発 宇宙粒子研究室 堀田修平 目次 前書き 1－1　福島第一原発事故について 1－2　放射能 1－3　放射線 1－4　放射線の詳細 1－5　放射性物質 研究目的 装置説明 3－1　全体 3－2　アルミケース、鉛ブロック 3－3　ＮａＩシンチレータ 3－4　光電子増倍管(PMT) 3－5　Pre AMP、Shaping AMP 3－6　マルチチャンネルアナライザ(MCA) 3－7　マイコン、電子天秤 3－8　PC、プリンター 3－9　Ｇｅ半導体検出器 測定原理 運用方法 ソフト キャリブレーション まとめ 参考文献 謝辞 1.　前書き 2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震の発生とそれに伴う東日本大震災が発生した。それにより東京電力福島第一原子力発電所（以下「原子力発電所」は「原発」と略す）を津波が襲い、全電源を喪失して原子炉を冷却できなくなり、1号機と3号機で炉心溶融（メルトダウン）が発生。水素爆発により原子炉建屋が吹き飛び、大量の放射性物質の漏洩を伴う重大な原子力事故に発展した。これが福島第一原子力発電所事故である。 本研究では、農作物の放射線汚染を検査する放射線測定器の開発が目的である。福島第一原子力発電所事故による放射性物質の広範囲土壌汚染や、農作物の放射線汚染の汚染状況を測定する簡易測定器を、宮城県角田市役所と共同で開発し、実際に市役所に設置し運用している。この簡易測定器の運用から得られたデータをもとに、より状況に適した測定器を開発、運用し、除染や農作業の計画作成に活用するため「誰でも簡単に測定できるシステム」にして、事故の影響の測定に適した放射線検出器を開発する。 また福島第一原発事故が発生し、自分に何かできることはないかと考え、この研究テーマに決めた。この研究が誰かの役に立てば幸いである。 １－１.　福島第一原発事故 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって、東京電力福島第一原発の各原子炉（分解点検中の4号機、定期検査中の5号機と6号機を除く1?3号機）は自動的に制御棒が上がり緊急停止した。発電所への送電線が地震の揺れで接触?干渉?ショート?切断?倒壊したり、変電所や遮断器など各設備が故障したりしたため、外部電源を失った。非常用ディーゼル発電機が起動したものの、地震の約50分後に津波が発電所を襲い、地下に設置されていた非常用ディーゼル発電機が海水に浸かって故障した。　　　　　　　　　　 そのためポンプを稼働できなくなったため、原子炉内部や核燃料プールへの送水ができず冷却することができなくなり、核燃料の溶融が発生した。そして、原子炉内の圧力容器、格納容器、各配管などの設備の多大な損壊を伴う、史上例を見ないほど甚大な原発事故へとつながった。また全電源喪失になると非常用冷却装置の弁が自動で閉じることが周知されていなかったことと、同発電所の幹部は3号炉のHPCIが手動停止している事実を知らなかったために、7時間にわたって注水作業が遅れてしまい、状況を悪化させた一因となったとされている。 図1-1：左から4号機、3号機、2号機、1号機 １－２．　放射能 放射能とは、原子核が崩壊して放射線を出す能力のことである。物質は原子でできており、原子は原子核と電子から構成されているが、原子核が状態変化を起こすことを放射性崩壊といい、それに伴って放射線が放出される。全ての原子核が自発的に放射性崩壊を起こすわけではなく、一定の原子核だけが放射性崩壊を起こすが、この放射性崩壊を起こす能力を放射能というわけである。放射能の単位はベクレル（記号Bq）であり、1Bqは1秒間に1個の原子核が崩壊することである。 日本語ではしばしば放射能と放射性物質と放射線とが混同されているが、その意味は明確に異なる。放射能とは単位時間に崩壊する放射性物質の数のことであり、単位ベクレルなどであらわされ、プルトニウム239が10万ベクレルといったとき、10万ベクレルがプルトニウムの放射能であり、プルトニウム239が放射性物質である。そして放射性物質から放出されるのが放射線である。プルトニウム239はアルファ線を放出して崩壊するが、ここではアルファ線が放射線ということである。 １－３．　放射線 放射線とは、放射性元素の崩壊に伴い放出される粒子線あるいは電磁波のことである。主にα線、β線、γ線の3種を指す。また、それらと同程度のエネルギーを持つ粒子線や宇宙線を含めることもある。そして放射線は、以下のように分