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2011年2月提出 東北学院大学教養学部地域構想学科　2010年度総合研究 価格設定における農業的価値の研究―宮城県大崎市鳴子の米プロジェクトの事例を通して― 教養学部　地域構想学科　4年生 0758214　太田　正輝 指導教授　金菱　清 目次 はじめに－問題の所在 第一章　事例概要 第一節　鳴子町概要 第二節　米プロジェクトの活動について 第三節　鳴子の米の歴史 第四節「ゆきむすび」について 第二章　モーラル?エコノミー論と「半商品」の概念 　第一節　非合理の事例と搾取として 　第二節　農民の暴力と反発 第三節　商品と半商品 　第四節　半商品と人間関係 第三章　価格設定における農業的価値 　第一節　被差別的な扱いの転換 　第二節　新たな関係性の構築と農業的価値 おわりに－結語 はじめに－問題の所在 　近年日本の農業は未曾有の危機に陥っている。後継者問題、食料自給率とりわけ大問題は米価の下落の問題であ2010年に環太平洋戦略的経済連携協定（Trans Pacific Partnership）」の影響も懸念日本は農業分野において大きな選択を迫られていることは記憶に新しい。TPPがなぜ今問題になっているかというと、貿易の自由化（関税撤廃）により、海外（オーストラリアなど）の海外産農作物が輸入しやすい状況になり、米農家の収益の下落に拍車をかけるなど農業を担っている人々に多大な影響を与えるからである。農水省によれば、TPPを受け入れた場合、農業総産出額が半分になり、食糧自給率が14％に下がると試算している。は一俵あたり円で年々農家の人々の生活水準は年々下落している。政府による農家所得補償という政策によって補填している現状にある。それに対して本研究が対象とする宮城県大崎市鳴子町で行われているNPO法人鳴子の米プロジェクトでは米を一俵あたり２万４千円販売を行っている。宮城県大崎市鳴子町で生産された米は全国的にも有名であったりするわけでもない。むしろ大崎市の中では「べこも食べない米」と他の地域から差別されてきた歴史があったのである。それにもかかわらず、全国的に米価下落の中、NPO法人鳴子の米プロジェクトが生産する「ゆきむすび」がなぜ年々生産量を増やして支持されている。本論文では「べこも食べない米」と他の地域から差別されてきた力を通じて米の価格に設定に込められた農業的価値について明らかにしていくことを目的とする。 　2005年3月、農水省は新た「食料?農業?農村基本計画」品目横断的経営安定対策品目横断的経営安定対策農業者で４以上の農地面積を有している一定の条件を備えた集落営農組織（特定農業団体等）で２０以上の農地面積を有している鳴子地域から風景大きな農家、小さな農家、旅館やホテルなどの観光業、こけし工人、女性グループ、JA、役所などさまざまな顔ぶれで構成鳴子地区で生産されてきた米は年から年ごろにかけて、「べこも食べない米」といわれ続けてきた。鳴子温泉地域の暮らしや農業を支える水源の地、鬼首。寒冷で日照時間も短く、もっとも米づくりに苦労してきた地区で、ひとめぼれ、ササニシキなど宮城県内の平野部で当たり前にとれるお米が育たない。平成18年度からは国の支援も打ち切られる。そんなとき「こういう有望な米がある」と紹介されたのが「東北181号」「東北181号」は耐冷、耐病、良食味の低アミロース米品種の開発を目標に、平成13年に誕生した米でが、減反政策が進む中、新たに品種として採用しようという動きはほとんどなく、長い間埋もれていた米であった宮城県大崎農業改良普及センター、古川農業試験場と何度となく協議を重ね、「宮城県奨励品種決定調査のための実証試験」がスタートした。古川農業試験場の指導の下、鳴子でも源流地域である鬼首地区の岩入（がにゅう）、寒湯（ぬるゆ）、中川原（なかがわら）三か所で栽培を試みることになった。現在「ゆきむすび」と名称を変えて鳴子地区の農業に影響を与えている。 　2007年3月4日鳴子スポーツセンターで鄙の祭りが鳴子の米を発表会として米プロ1年目の成果を「考える」?「見る」、「食べる」、「広める」と四部門に分かれて発表行われた。定員350名の中450名が準備段階から参加者がおり、県内外から多くの人が来場した。内容は第一に「見る」として中川原、寒湯、岩入、で栽培されたゆきむすびと名前が付く以前、東北181号の栽培記録パネルの設置、映像紹介、第二に「考える」総合プロデューサーの結城登美雄氏の講演が行われた。鳴子の料理は立派だしいい器もあるとおし、米と器をバラバラにしないで、鳴子の食材に鳴子の器米を中心に広げていくこともプロジェクトのねらいである。もと