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第14章銀行業と信用創造
第14章銀行業と信用創造 信用創造のプロセス 貨幣=決済手段 市中銀行の創造する「信用」も「貨幣」の一部として含めることができる 政府が発行する「現金」を基礎に、市中銀行が信用創造を行い、貨幣供給が増える 信用創造のプロセス ある個人が銀行から1000万円の住宅ローンを借り入れる。この金額は、個人名義の預金口座に振り込まれる。 信用創造のプロセス 個人はこのローンを使って、住宅建設の費用を建設会社に支払う。 振込みで行う。 建設会社はこの1000万円を、ちょうど支払うことになっていたセメント会社への支払に使うことにした。 これまでの金融取引(計3000万円)で一回も現金は利用されていない! 銀行預金の利用 すべてが銀行取引で行われるなら 経済取引はキャッシュレス(現金無し)で行われることになる。 ところが、現金が必要になるときもある。 セメント会社が給料の支払を現金で行えば、現金が必要になる。 銀行は現金の準備が必要になる。 銀行の預金準備 銀行の準備は、銀行の金庫に納められる(現金準備)か、中央銀行の金庫に納められる(中央銀行預金)のどちらかで、この二つを「預金準備」と呼ぶ。 銀行の経営からすると、利子のつかない預金準備は少なくしておきたい(融資にまわせば利子収入が稼げる)。 困った! 銀行間信用もしくはコール?ローン 預金準備は少ないほうが望ましいが、預金準備が少なすぎると現金需要の応えられないかもしれない。 そこで、「銀行間信用」もしくは「コール?ローン」という、他の銀行からの短期の借入を利用するという知恵が生まれた。 現代経済の信用貨幣の創造 2段階のプロセス ①政府がただの紙切れに信用を賦与して、「現金」とする段階 ②預金準備を保証として、市中銀行が信用を創造する段階。 その際、「現金」と市中銀行の「中央銀行預金」とが創造する銀行信用の保証となるので、「現金」と「市中銀行預金」を合計したものを「マネタリー?ベース」もしくは「ハイパワード?マネー」と呼ぶ。 1836年~60年自由銀行時代(米国) この時代には、アメリカの多くの州が銀行の設立を自由に認め、どの銀行も「銀行券」を発行することができた。 全米で3000種類以上もの貨幣が供給された。 しかし、銀行券と貴金属の交換(兌換)が保証されていた為に、銀行の信用の綿密な審査ができ、そのため、貨幣経済の崩壊はおこらなかった(Gorton (1996))。 悪い銀行だったら金に替えておけばよい。 もし銀行経営に疑いを持ったら、、、 「預金」を引き降ろして「現金」に換えればよい 銀行は、そういう預金者の行動原則を計算に入れて、経営の安全に努力する ところが、もし限度を超えて、銀行にたいして現金への交換が殺到すると、別の問題を生むのである。 預金額の一部しか現金準備をもっていないので、100%の兌換は不可能だからだ。 取り付け騒ぎ 預金者が、一斉に預金の現金への交換を求めることを取り付け騒ぎ(bank run)と言う。 取り付け騒ぎを研究した理論としてはダイアモンド=ディビッグ(1983)が有名である。 取り付け騒ぎ(Bank Run)が出てくる映画 『素晴らしき哉、人生!』 It’s a Wonderful Life フランク?キャプラ監督 ジェームス?スチュワート主演 クリスマス映画として米国では大変有名 3つのタイプの資産 ダイアモンド=ディビッグ(1986) 世の中には、時間をかけて待つと収益が上がる投資先がある。 しかし、人々には突然の現金需要が出てくる場合もある。 そこで、銀行預金(流動性に強み)と証券(収益性に強み)の間でトレードオフが存在する。 ダイアモンド=ディビッグ(1986) 銀行側は、すぐに預金をおろして現金化する人が少なければ、その分だけ現金を用意しておけばよい。 預金者が「取り付け騒ぎ」が起きないと予想する場合には実際に「取り付け騒ぎ」は起きない。 ところが、すぐに預金をおろして現金化するという預金者が全てであれば、銀行はそれだけの準備をもっていないので、対応できない。 預金者が皆が取り付けに行くと予想すると、取り付け騒ぎはおきてしまう。 実際に噂で取り付け騒ぎは起きる 1973年12月豊川信用金庫 電車の中で主婦のグループが「こんな時勢では豊川信金でも危ない」と噂していた。 豊川信金は全く安全であったのに、乗客が聞いて、噂が広まり、取り付け騒ぎにまで発展した。 噂(=他人に対する予想)は、信用経済を揺るがす場合がある。 取り付けへのセーフティ?ネット 取り付けが生じたさいの窓口業務の停止 最後の貸し手である中央銀行からの緊急融資 預金保険による預金保護 「良い銀行」も風評被害によって潰れることを抑えることを目的とする では、取り付けは非合理的
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