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【燃料電池自動車】 情報工学科　４年　３５番　矢野　真樹 １．はじめに 　“究極のエコロジーカー”として期待が寄せられている燃料電池自動車の路上走行試験がアメリカ、カリフォルニア州でいよいよ始まり、実用化への大きな一歩が踏み出された。燃料電池自動車とは、ガソリンや石油など、枯渇が危ぶまれている化石燃料ではなく、無尽蔵ともいえる水素を燃料にする車である。ここでは、燃料電池自動車の基本的な仕組みから、最新の開発の現状を紹介する。 ２．燃料電池自動車の内部構造 燃料電池自動車の仕組み 　燃料電池自動車は、エンジンのかわりに燃料電池を動力源とする車である。燃料電池に必要な燃料は水素なので、水素を含む全ての物質が燃料電池自動車の動力源となりうる。なかでも、燃料の有力候補として開発が進んでいるのは、水素そのものや、メタノール、ガソリン、軽油などである。どの燃料を使用するかで燃料電池自動車の構造は若干異なるが、ここではダイムラークライスラー社（独）が開発した液体水素を燃料とする燃料電池自動車を用いて、その仕組みを解説する。 燃料電池システムは、座席下に組み込まれている。まず、後部に搭載された水素タンクから、水素が燃料電池の燃料側に送り込まれ、燃料電池の空気側には、コンプレッサーを用いて空気が送り込まれる。送り込まれた水素により、電気エネルギーが発生する。燃料電池システムで発生した電気エネルギーはインバーターで直流から交流に変換される。さらに、モーターで運動エネルギーに変換され、燃料電池自動車の駆動力となるのである。 『燃料電池自動車の二つの方式』 …燃料電池自動車には、水素そのものを貯蓄するタンクを搭載して、水素を直接供給する“水素貯蓄方式”と、液体メタノールを水素に改質する“改質器”を車内に搭載する“メタノール改質方式”の２種類がある。 ［２］燃料電池の原理 燃料電池の原理は、水の電気分解の逆の反応である。水を電気分解すると、水素と酸素が発生するが、燃料電池は逆に水素と酸素を反応させて、電気を発生させる。こうしてできた電気が燃料電池自動車のエネルギー源なのである。では、燃料電池の内部はどのような構造なのか解説する。 　燃料電池は、サンドイッチのような構造になっている。水素や酸素を供給したり、生成された水を電極から排出したりする働きを持つ２つの“セパレーター”が、２つの電極“燃料極”、“空気極”と電解質“イオン交換膜”をはさんでいる。 ＜電気発生の流れ＞ レフトセパレーターに流れ込んできた水素分子が燃料極で水素イオン（陽子）と電子　　　　　に分かれる。 陽子は“イオン交換膜”を通過する。 電子は“燃料極”から導体を通って“空気極”に移る。 電気エネルギーが発生する。 運動エネルギーに変換する。（インバータ） “空気極”で陽子と電子が再結合し、水素を再生する。 外部から供給される酸素と水素が反応して水が生成する。 実際は、出力を大きくするために、このサンドイッチ構造を何層か積み重ねている。しかし、積み重ねるほど体積が大きくなるので、現在、いかに小型化して高出力の燃料電池にするか、研究者が競って開発を続けている。 　ガソリンなどを使用する内燃機関では、急激な酸化反応と爆発で運動エネルギーを取り出すのに対して、燃料電池では緩やかな酸化反応で電気エネルギーを取り出す。このため、燃料電池は排出ガスがクリーンであり、エネルギー変換効率も高い。 ３．開発の現状 地球温暖化を解決する手段の一つとして期待されているのが“エコロジーカー”である。エコロジーカーとは、排出するガスがクリーンで、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量が少ない車のことである。エコロジーカーには、燃料電池自動車の他に、電気自動車、ハイブリッドカーなどがある。燃料電池自動車は水素を燃料とし、排出するのも水なので、枯渇が危ぶまれているガソリンなどの化石燃料の使用をおさえることができるし、環境にもやさしい。ダイムラークライスラー、ゼネラル?モーターズ、トヨタ、日産、マツダ、ホンダなどの国内外の主要な自動車メーカーは、燃料電池自動車の実用化に向けて、燃料電池の開発にしのぎをけずっている。 　利点 有害な排気ガスを出さない。 他のモーターと比べ、最大級のエネルギー効率。 （※現在のガソリン車のようにエンジンで燃料を燃焼させる内燃機関の場合： 駆動に使用されるエネルギー／燃料からのエネルギー ＝ ２０[%]→５０～８０[%]へ) ?騒音が少ない。 問題点 燃料 水素…常温では気体なので容積が大きく、爆発性があるので、搭載には注意が必要。 液体窒素…冷却しなければならず、何日かたつと徐々に気化していく。 ＜水素に変換活用＞ メタノール…