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班制度を再考する 日本連盟プログラム委員会委員　武井重利 「スカウティング」誌　平成８年９月～９年３月掲載 《班制度が充実し、プログラムを活発に展開するために》 ＜ヒントとしての即効性はないが…＞ 　「プログラムのヒント」を期待していたのに、班制度を再考してヒントになり得るだろうか？ 　そう。班制度を考えても、すぐプログラム活動に役立つとは限らないし、ヒントとしてすぐ使えるような“即効性”はない。 　しかし、どんなに有用なプログラムを楽しみ、活発に展開していても、班制度を採用していなければ成果（教育効果）は半減しているのである。隊長が班制度の特徴を十分理解し、運用の仕方を間違えなければ、やがて各班は活発に動き出し、プログラム活動は成功することに気がつかなくてはならない。 　「班制度を再考するときの話」が、これからのプログラムを計画するとき、そして実施するときになって、班制度の活用の仕方、隊長としての心構えが多分に役に立つであろう。 ＜隊登録が減少している問題＞ 　全国の「加盟登録に関する統計」から、全国平均の「隊数」が年々減少し、それとは逆に「班登録」が増えているのが読み取れる。１０年間前と平成８年３月末を比べれば、隊登録数が２５％減少し、班登録数は２．２倍に増加しているのがわかる。あなたの隊、あなたが所属している地区の過去５年間の推移と現況はどうであろうか。 ＜班制度をどう理解したか＞ 　奉仕の精神に生きがいを感じ、スカウティングに興味を覚え、指導者講習会、そしてウッドバッジ研修所を修了すると、いつの間にかボーイ隊の隊長に任命された今、責任を重く感じるものである。 　「班制度とは、異年齢の少年たちが小集団である班を編成し、班は仲間同志の強いきずなで結ばれ、自発活動と“ちかいとおきて”の実行の場になり、指導性と協調性が養われ、一人ひとりの人格を培う（つちかう）最良の方法である」と教わったのだが、現実はどうであろうか。 　「順風満帆とはいかないまでも、班長はしっかりしているし、班活動もまあまあ行われている」といった隊が多く健在なのは、まことに喜ばしいし、よいスカウトが育っていくものと期待されている。ただ、年々少しづつだが“スカウトが減少気味な隊”が増えているのが気になるところである。 ＜班制度の現状を把握する＞ 　一方、隊長が思うようには班長が動いてくれず、どうしたものかと思案投げ首の状況もよく見受けるようになってきた。 　班制度の大切さ、重要さは十分わかっているが、現実は研修所で聞いた講義とは相当かけ離れており、どうしてもうまくいかない。そうした隊や班において現れた現象を集めてみると、次のようである。 《よく見受けられる現象》 　１．班長が塾のために欠席がちである。 　１．出席率の良い班と悪い班の差が開きすぎる。 　１．上級班長がいない。 　１．班長が班員をまとめられない。 　１．班集会が行われない。 　１．班長訓練ができない。 　１．班制度に保護者の理解がない。 　１．副長が足りない。 　１．隊リーダーが役務分担を果たしていない。 ＜班制度が展開できない状況＞ 　隊登録していても、実際には１個班程度のスカウト数しかいない隊も目立つ。その現状は… 　?スカウト数が少ないので２個班が編成できない。 理由は 　〇上進者がいない 　〇上進者がいてもすぐにやめてしまう　 　〇入隊する少年がいない 　?班登録はしているが活動していない（最悪！） 理由は 　〇スカウトが出てこない 　〇出てきても盛り上がらないので次から集会に来ない ＜班登録になったのは、児童数の減少が原因？＞ 　隊登録ができなくなった団では、その決定的な理由として、『青少年人口が減少したために、入隊者や上進者がいなくなったのだ』と口を揃えていわれる。果たして青少年の人口が減少したから入隊者が少ないのか？ 　確かに高年齢層の人口が増加し、青少年の人口は減少しつつあるが、問題は「ボーイスカウト年齢に該当する少年１００人あたりのスカウト数」が、年々減少していることである。全国平均でいえば、１０年前では１００人あたり２．１９人加入していたものが、今年３月末では１．６０人まで低下している。 　このことは、青少年がいるのに加入率が減少しているのだということを示している。あなたの隊の周囲には少年の影が薄いかもしれないが、もう少し範囲を広げればまだまだ入隊してもよさそうな少年はたくさんいるのである。要はこれからどうやってスカウティングに引き込むか、仲間にしていくか、努力する方法を考えねばならない。 ＜期待されるボーイスカウト＞ 　少年たちをとりまく環境は？　というと、生活水準がますます向上して物質的な豊さに恵まれ、便利で快適な生活を甘受で