心理的教育アプローチと家族教室.doc

うつ病家族教室 開催マニュアル （適宜修正して使用可） 福島県精神保健福祉センター　 目　　次 　《理論編》 　家族教室の必要性 家族が抱える悩み??????????????????????１ 家族教育??????????????????????????１ 家族教室??????????????????????????５ 　《実践編》 家族教室のめざすもの????????????????????８ 実施にあたっての事前準備??????????????????８ 教室の開催準備??????????????????????１１ スタッフの役割??????????????????????１２ タイムスケジュール(例) ??????????????????１４ 事業の評価の項目?????????????????????１９ 教室で使用する様式????????????????????２１  《理論編》 　家族教室の必要性 ～うつ病患者の家族への対応～ １．家族が抱える悩み ＜実質的な負担＞ ?患者本人が役割を担えないために生じる負担（経済的負担、家事などの負担） ＜心理的負担＞ ?先の見通しが持てないことによる負担（「いつまで我慢すればいいのか??」） ?本人の症状を目にすることによる負担（「悲観的な話ばかりされる」「自分（家族）を責める」など） ?自殺などの危険性に伴う負担 ?他の親族や隣人などとの関係における負担（「本人のことで家族が責められる」「本人のことを周りの人に知られたくない」など） ２．家族教育 (1) これまでの経過の聴取、これまでの家族の努力の評価 　これまでの経過（患者本人の経過、家族の取り組みの経過、どのような点で苦労してきたか、今どのような点で困っているかなど）を聞き、「１．家族が抱える悩み」に挙げた実質的負担や心理的負担について把握します。さらに、そうした負担にどのように対処してきたかや、本人の改善に向けてどのような苦労?努力をしてきたかを聞き、受け止めます。医学的には必ずしも最適な対処ではなかったように見えるかもしれませんが、本人と身近に接してきた中での工夫が織り込まれているものです。まずは、コメントせず、しっかり聞いて、評価（ねぎらう）します。 (2) 疾患についての正しい知識 　家族が病気をどのように理解しているか、どのような点が理解できないでいるかについて聞きます。「(1)これまでの経過」を聞くなかで、すでにある程度、把握できているかもしれません。その上で、病気の症状、治療方法、回復の道のりなど、一般的な知識を伝えます。家族が陥りやすい誤解を解くために、次のようなポイントに注意します。 a) 脳という「体の病気」であり、心がけなどでなんとかなるものではなく、治療が必要である b) 考えや行動、意欲など、健康な時ならば自分の力でなんとかなるものも、病気によって自由を失われてしまうということ。たとえば、「何でも暗いほうに考えてしまう」「回復に向けた努力をしようとしない」なども、症状のためにそうなっている、として受け入れることが大切。 c) 治療によって改善すること。八方ふさがりのように見えても、実は病気のために追い込まれてそう見えているだけということもあります。治療が打開策となり得ます。たとえば、「もう休まないともたないけれども、ここで休むともう仕事がダメになってしまう」と言われると、「じゃあ、どうしたらいいんだ。どうしようもないじゃないか。」と感じてしまいます。しかし、同じ状況にあっても、元気なときであれば、「少しくらい仕事に支障が出ても、また取り戻せる」と思うことができるのかもしれません。そのように思うことができないということが、病気のために余裕がなくなっている証拠であり、病気から回復すれば「なんでもないことだった」と思えることが多いものなのです。 d) 長期的には必ず回復するということへの信頼と、短期的には、「しばらくは落ち込んでいても仕方がない」と、現状を受け入れることという２つが療養の基本であること。しばしば、長期的な回復を信じることができず、「何もできないのが永遠に続く」ように感じてしまい、現状を受け入れられないのです。 e) 協力関係が大切であること。回復が長引いたり、一時的に悪化したりすると、医師、家族、患者のそれぞれの間で、不信感が生じてしまいがちです。たとえば、「今の治療であっているのだろうか」といった治療への不信、「家族の対応が悪いのではないだろうか」といった家族の対応法への不信、「本人がよくなろうとしていないのではないか」といった本人の療養態度への不信です。そうした不信が芽生えそうなときこそ、お互いのコミュニケーショ