浮羽内科医会総会＆講演会＆懇親会から.pdfVIP

浮羽内科医会総会＆講演会＆懇親会から 浮羽内科医会 会長 矢野敬文 はじめに ご依頼にて浮羽内科医会より寄稿させていただきます。当内科医会は年２回の総会?懇親会を開 催致していますが、本年春期総会は平成２５年６月７日（金）（於：ビューホテル平成）に開催致 しました。総会終了後、国立病院機構九州医療センター副院長冷牟田浩司先生に『臨床循環器病 学の最前線』のテーマで講演をお願い致しました。冷牟田先生は九州医療センター創立以来、循 環器病学の最先端医療を実践されてこられた先生です。私事で恐縮ですが、久留米大学の多様性 のある更なる発展、グローバルな観点に立った医師人材養成のため、大学の総力を挙げて取り組 んだプロジェクトの下、国立病院機構九州医療センター創立に伴い、一緒に大学より赴任し公私 にわたりお世話になっている先輩でもあります。冷牟田先生の快諾を得て、本会報にその講演要 旨を掲載させていただくことと致しました。 【記念講演】 『臨床循環器病学の最前線 』 ～ 久留米を出てから 20 年 ～ 独立行政法人国立病院機構九州医療センター 副院長 冷牟田 浩司 はじめに このたび、浮羽内科医会にお招き頂いた。浮羽内科医会は筑後地区の地域医療の重要な一翼を担 っておられる。そのような由緒ある総会に私もどきの拙い講演の機会をいただけたことは大変な 恐縮至極で光栄の至りであり、矢野敬文先生はじめ当日ご出席いただきました先生方と浮羽医師 会事務局の皆様に心から感謝、御礼申し上げる次第である。 私は久留米大学を昭和 52 年に卒業し、その後 17 年間の長きにわたり大学に在学?在局（現 心臓?血管内科：旧第三内科学講座）させていただく機会に恵まれ、多くを筑後地区で学ばせて いただいた。そして 1994 年 7 月、福岡市中央区に独立行政法人国立病院機構九州医療センタ ーの前身、国立病院九州医療センターが新規開院した際、久留米大学同窓生数十人と共に赴任し、 早や 20 年を迎えることになった。実は、この 20 年はまさに本邦の臨床循環器病学が一気に開 花した時期であり、この間の自らの経験と合わせて最新の臨床循環器病診療の進歩を紹介した い。 1. 新たな冠動脈治療の幕開け 私が久留米大学を卒業したのは 1977 年であった。その後、母校を飛び出し、自治医科大学 で初期研修時代を過ごし、1979 年に旧久留米大学第三内科（循環器病学）に入局した。折しも この年は欧州（スイス）にて Dr. Andreas Gruenzig がバルーンによる冠状動脈の経皮的血管 形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty: PTCA)に初めて成功した年である。 当時の The New England Journal of Medicine に掲載された論文（図 1）を目にした時の衝撃 は今でも忘れられない。開心術を行わずに冠動脈狭窄を治療する低侵襲治療の時代の幕開けで あった。 Percutaneous dilatation of Coronary Artery: Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty Kyushu Medical Center （図） 1 2. 初期の PTCA の課題…突如の急性冠閉塞と慢性期再狭窄の壁 遅れること 6 年、米国の Texas Medical Center で研修を終え、いよいよ 1985 年 7 月 29 日、久留米大学病院で記念すべき第一例目のPTCA を行った（図 2）。 ステント留置部位