T-6フルハイビジョン裸眼立体ディスプレイを用いた 手術シュレータ.pdfVIP

T-6 フルハイビジョン裸眼立体ディスプレイを用いた 医療?福祉?介護 手術シミュレータ ■ はじめに 左目用画像を交互に提示することで立体視が可能となる。 ３Ｄディスプレイの普及が最も期待される応用分野は、 時分割表示であるため、120Ｈｚのリフレッシュレートとフル 医療手術等の作業シミュレータやロボットの遠隔操作であ ハイビジョンの解像度を有する液晶パネルを用いることで、 る。２Ｄディスプレイが与える奥行き感は大まかな前後関 フルハイビジョンの立体像をちらつきなしに提示できる。ま 係に留まり、正確な奥行き位置の情報は与えられない。デ た、観察者の位置が左右に移動したときは発光位置を右 ィスプレイの観察者が映像をもとに物理的な作業を行う場 または左に動かし、観察者の位置が前後に移動したとき 合、正確な奥行き知覚の欠如は作業効率を著しく低下さ は発光位置の間隔を変えることで、それぞれの目に指向 せる。実際、先導的遠隔手術システムとして広く普及して 性光を常に照射し続けることが可能となる。 いるIntuitive Surgical社のda Vinciでは、両眼立体視が可 この方式の最大の課題は画面の輝度の一様化である。 能なディスプレイ装置が使われている。 要素レンズの中心を通る光と端を通る光では輝度が異な このように、これまでも医療現場への立体ディスプレイ るため、図１の光学系をそのまま用いると、提示像にムラ の導入は試みられている。しかし、その多くは眼鏡式立体 が発生する。この問題は、レンズアレイ内の各段のレンズ ディスプレイである。その理由として、現在市販の裸眼立 位置の位相が横にずれるように配置するとともに、液晶パ 体ディスプレイの解像度が、眼鏡式立体ディスプレイに比 ネルの裏側に縦方向に指向性のある拡散板を挿入し、輝 べて著しく低いことが挙げられる。一方、眼鏡式立体ディ 度の高い場所と低い場所を混合することで解決できる。横 スプレイも、共同作業者間で互いにアイコンタクトがとれな 方向に光の拡散がないため、立体視も損なわれない。 いこと、眼鏡の煩わしさなどの欠点があり、眼鏡式立体デ ィスプレイと同等の画質を裸眼立体ディスプレイで実現す ることへの期待は大きい。 本プロジェクトでは、フルハイビジョンの解像度を有する 裸眼立体ディスプレイを新たに開発し、肝臓手術シミュレ ータliversimのモニタとして実際に医療教育現場に導入す ることを目的としている。 活動内容 ■ １．フルハイビジョン裸眼立体ディスプレイの開発 フルハイビジョンの解像度を持つ裸眼立体ディスプレイ を実現する手段として、われわれは２つの方式を提案して いる。一つは、凸レンズアレイを用いた時分割指向性バッ