篤志観測船を用いた有害化学物質による地球規模海洋汚染観測システム.doc

大気中のダイオキシン類について 中野　武 (兵庫県立健康環境科学研究センター) 　　1. はじめに 　環境大気中のダイオキシン類濃度は、気象条件その他の変動要因で、日々変動している[1]。連続する日のダイオキシン濃度が、大きく異なり、24時間採取では、サンプリング日によって過大評価や過小評価が起こりうる。健康リスクや環境リスクを評価するため、我々は、ロ－ボリウムエアサンプラーによる長期サンプリング手法を開発し、ハイボリウムエアサンプラーによる捕集法の改良法として、提案してきた。 　環境大気中のダイオキシン類濃度レベルの日間変動、経年変動、TEQ寄与割合、環境モニタリング手法の問題点、異性体分布、同族体分布と起源推定などについて報告する。 低塩素化ダイオキシン類の異性体分析 PCDD/DF分析法は、毒性係数の示されている17異性体、4～8塩素化DD/DFのみを対象としており、各種媒体の分析は、4塩素以上の異性体に集中してきた。低塩素化DD/DFの異性体分布は、生成機構や分解過程の解明、毒性評価、起源推定などに非常に重要な情報を提供するが、これまであまり関心が払われなかったので、低塩素化DD/DFのアサインメントについてはほとんど報告がない。Weberら[2]は、流動床炉でのPCDD/PCDF生成に関して、排ガスおよびフライアッシュ試料中のTrCDF同定結果を、またBallschmiterら[3]は、フライアッシュ試料中の1～3塩素化DD/DFの一部について、SP-2331での同定結果を報告している。Nakano and Weberは、SP-2331などのカラムで、1～3塩素化DD/DFの全74異性体について、完全な同定結果を報告している。[4] 今回、環境大気試料を中心に、1～8塩素化DD/DFの全異性体分析を実施した。低塩素化DD/DFの異性体分布の特徴を燃焼起源、農薬起源の異性体分布と比較して示す。 【分析方法】 　使用した機器はJEOL JMS‐700質量分析計、HRGC/HRMS-SIM分析条件は、???源温度：280℃. ???化??????：38eV. ????????：He(流量：1.0ml/min), SP-2331(30m×0.25mmID.膜厚0.20μm). 70℃(2min)-30℃/min-200℃-3℃/min-260℃(14min)。DB5MS（60m X0.32mmID.膜厚0.2um）, 80℃（1min）-10℃/min‐280℃(18min)。DB-Dioxin（60m X0.25mmID.膜厚0.15um）, 50°C(1 min) - 20°C/min-150°C - 3°C /min- 270°C(14min). 分析及び同定に使用した低塩素DD/DF標準品は、CILのEDF-4954(unlabeled), EDF-4955(13C12,99%)で、各2-D, 2,3-D, 2,3,7-D, 2-F, 2,8-F, 2,4,8-F異性体が含まれる。市販されていない異性体は、クロロフェノールやPCBから、単一、あるいは混合標準品として合成した。 図　環境大気中ダイオキシン類濃度の日間変動 ＰＣＢ環境モニタリングにおける問題点 環境省は?PCB廃棄物の全量処理を目指す?PCB対策特別措置法?を施行し?地域ごとに処理施設を設置し?PCB廃棄物の保管事業者に量や種類を届け出させ?15年以内の無害化処理を義務づけた?製造中止決定から30年を経過し?処理が進まなかったPCB問題の解決を目指している? 　PCBの総生産量 58,000t (1954-1971)に対して、回収され熱分解処理された液状PCB は5,500t（生産量の10%以下）であり、残りの90%は環境にストックされている。適正に管理?保管されているもの、過去に閉鎖系で使用され、廃棄物処分場に埋め立てられているもの、開放系で使用され環境へ放出されたもの、その他、中古電気製品のシュレッダーダスト、ノンカーボン紙、蛍光灯の安定器、紙コンデンサー、建築用シーリング材、船底塗料など、さまざまな形態で環境へ移行し、大気系、水系、生態系に分布している。 近年、コプラナPCBがダイオキシン類として評価され、同様の検出下限レベルで、PCBをモニタリングしている。ダイオキシン環境調査で、コプラナ-PCB汚染パターンの特異性から、過去のPCBによる汚染が判明した例がある。兵庫県でも、昭和43～47年に建築された県の庁舎の一部で、建築用シーリング材が原因と思われるPCB汚染が、見出された。PCB環境モニタリングにおける、分析法や問題点を整理したので、報告する。 【分析方法】 分析はLock Mass法を用いて、分解能10