学校と家庭地域を結ぶ家庭教育学級.pdfVIP

- 1 - 学校と家庭?地域を結ぶ家庭教育学級 ～交流?体験を取り入れた地域ぐるみの子育て学習を通して～ 板倉町立板倉中学校 大工原さゆり Ⅰ はじめに 近年の都市化、核家族化などの社会状況の変化の中で、家庭の教育力が低下していると 指摘されている。核家族化により、同居の祖父母から子育てのアドバイスをもらったり、 地域で子育てを支えたりすることも少なくなっている。そんな中で、子どもの教育を母親 が一人で抱え、母親自身が不安を抱えながら子育てをしていることが多い。このような状 況から、新学習指導要領でも、家庭教育の重要性が取り上げられている。 本校においても学校に寄せられる保護者の相談から、保護者が子育てに悩み、不安を感 じながら子どもと接していたり、過干渉な保護者や毅然とした態度で子どもに接すること のできない保護者がいたりすることを感じる。また、子どもの問題行動に対して「我が子 だけなんだろうか」とか「私の子育てが間違っていたのだろうか」など保護者自身が子育 てに自信を失い、「子どもにどう接してよいか」迷いながら子どもに接する様子が見られ る。このような保護者の不安定さが、子どもの問題行動をより増加させてしまう悪循環が 起きていると感じる。このような状況から保護者の子育てを学校が支える必要があり、家 庭教育の充実が、子どもたちのよりよい成長に重要であると考える。 板倉町の小学校４校と中学校１校は、板倉町教育委員会生涯学習係から「保護者を対象 に親の姿勢や家庭の在り方を学ぶ家庭教育学級」の開設を委託されている。各小中学校で 教頭、一年生の学年主任が中心になって年５回程度の家庭教育学級の内容が計画、実施さ れている。この家庭教育学級の内容は、主に学校長?養護教諭?栄養士からの「家庭教育と は」「子どもの健康について」「食生活について」の講話や保護者と子どもとの交流行事、 保護者同士の交流を深める施設見学などがある。 この板倉町の家庭教育学級を保護者の 抱える問題を取り上げ、実際に保護者が 自信を持って子育てにかかわれるプログ ラムに見直していくことが、家庭教育の 充実につながると考えた。そこで、平成 １６年群馬県総合教育センターの長期研 修員として生徒指導教育相談グループで 学んだ右図に示すような「体験型の子育 て学習で進める保護者会」の展開モデル を参考に、保護者の抱える問題を解決す るプログラムを組んでいけるように考え た。 本内容は、平成２０年度から今年度ま での「体験型の子育て学習で進める保護 者会」展開モデルを参考に交流や体験を 取り入れた板倉中学校の家庭教育学級実 践からの学びと板倉町全体で学校と家庭 ?地域が連携して家庭教育の充実に向け た取組の実践報告である。 （注１） 表１ 家庭教育学級プログラムの基本構想 - 2 - Ⅱ 家庭教育の充実を図るための工夫 １ 体験を取り入れた家庭教育学級 これまでの家庭教育学級では、講師から様々な情報を伝達されることが中心で、保護者 はどちらかというと受け身で話を聞き、知識を得ることが多かった。このような受け身で 話を聞くだけでは、子育てに参考になる様々な知識を得られるが、実際家に帰ってその知 識を目の前の我が子と接するときにどう生かしていけばいいのかというところにつながら ず、我が子へのかかわりの具体的な変容はない。子育ての知識だけでなく、かかわり方を ロールプレイするなど実際に子どもとのかかわりを体験することから、保護者の気づきが 生まれ、子どもへのかかわりが変わっていくであろうと考えた。そのため、家庭教育学級 の中で実際に子どもとかかわる場面を設定し、保護者同士でロールプレイを行うようにし た。また、毎年食育として栄養士に、栄養バランスを考えた食事が大切であることや朝食 の大切さなどの話と朝食?お弁当?夕食などの調理実習を行う体験も取り入れている。 ２ 交流を取り入れた家庭教育学級 授業参観で保護者の様子を見ると、子どもの様子を見るより、友達の保護者と話してい る姿が多いことがある。普段、保護者は、小学校が同じで仲のよい保護者同士、同じ部活 動の保護者会で知り合った保護者同士など限られた保護者との情報交換が多い。また、他 の保護者とかかわりの少ない保護者もいる。このような保護者の実態から、一部の限られ た保護者同士の交流では、家庭教育力は向上していかないと考える。そのため、家庭教育 学級において、様々な保護者と知り合いになる場面を設定することが、必要であると考え た。多くの保護者と知り合いになり、様々な意見を聞くことは、保護者の考えを広げ、ど この家庭にも同じような悩みがあることに気づき、保護者の気持ちの安定や自信を持って 子育てすることにつながると考えた。このような考え