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社会実験市民協働まちづくり手法 序章　社会実験をはじめよう １、社会実験とは 実験という語義は高度に管理された条件下で試行することである一方、社会は複雑で多様であるために、「社会実験」と言う用語は、語義矛盾を感じさせる。そして、仮に実験を行って、社会を高度に管理するなら、管理社会になるほかならないから、「社会実験」も驚きを与えるようになると思われる。 しかし、ここでいう「社会実験」というのは、それと程遠い意味である。主として交通計画の分野を中心に、住民参加を前提にして、計画案を本格実施する前に試行し、その結果や参加者の意見を踏まえて、これを修正する仕組みのことを指している。 社会実験の定義 事業や施策の本格実施に先立ち、期間と地域を限定して、住民や企業?行政など関係主体が協力?参加し、新しい考えや新制度?新技術を試み、評価を行うこと。 特徴――条件操作の困難な実社会に働きかけて、多くのひとが実体験を通して、施策案を評価できる。 社会実験のプロセス 社会実験のプロセスは企画―実施―評価―改善?中止というサイクルで構成される。 社会実験の目的 実社会における施策案の有効性の検証、市民に対する施策案の体験的周知、市民側からの意見表明とそれによる施策案修正の機会提供、それらの成果としての合意形成。 ２、社会実験の系譜 イギリスの経験 ノッティガム市は１９７０年代に交通実験都市を宣言し、さまざまな実験を開始した。これまでの実施された実験の結果は、効果が実証されなかったり、市民の合意を得られなかったり、施策を導入されないケースも多いといっても、イギリスでは社会実験が国の施策のなかにしっかり地位づけられ、定着してきている。 日本の現状 日本では、最初の日立市の交通渋滞緩和実験から、交通分野を中心に、近年複数の地域で個別的試行の気味がある先駆の実験が行われる。 社会実験が定着した背景 ７０年代から、欧米の多く都市では社会実験を活用して、交通改善や環境改善などのまちづくり施策に効果を発揮している。日本も同様の動きが活発してきた。 ３、社会実験の意義と課題 社会実験の意義 市民の緩やかな参加と連帯の促進をもたらすのは、社会実験は積極的市民といわゆるサイレント?マジを含むすべての市民を巻き込みながら全体の合意形成を目指す試みであるから。 行政の意識改革の促進。社会実験のため、行政はより多く労力と本格実施をやめる勇気が必要である。また、無誤謬神話を覆す可能性もある。新しいことをやるという挑戦の敷居を低く効果がある。 社会実験の課題 「実行してみよう」という実験精神が容易に無責任などの批判を招きかねないから、社会実験の必要性とか評価方法とか結果の扱い方などについての合理な説明が不可欠で、実験の事前合意やコストの負担などの点も大きな課題である。 第一章　交通分野における社会実験の取り組み １、鎌倉におけるパーク?アンド?レールライド（Ｐ＆ＲＲ）実験 （１）社会実験の背景と経緯 古都鎌倉は有名な観光スポットとして年間二百万の客流があるが、鎌倉地域は幅員狭く、内部に道路が狭くて、蛇行しており、駐車場の確保も容易ではない。そこへもってきて、休日に流入した大量な自家用車、渋滞や違法駐車などの深刻な交通問題を引き起こす。 鎌倉市は１９９１年度よりこの問題に対する交通マスタープランの検討を開始したが、いろいろな困難で、良い計画が出せない。でも、現実的な問題を身近なところから解決することの重要さを認識した。 今までの長期的なインフラ整備の検討と違って、「鎌倉地域交通計画研究会」は短期的実現可能なソフト施策が検討された。二十の施策からなる「鎌倉地域地区交通計画案」を作成し、また、全体計画を仮想的に体験する交通実験を提案している。 社会実験で施策を検証しながら、計画を具体化させることが基本な考え方になる。 （２）七里が浜Ｐ＆ＲＲ実験の概要 目的 観光客が自動車から公共交通へどの程度乗換えをしてくれるかを検証する 自動車交通を公共交通に転換させるための施策、これを考えるにあたって必要となる基礎データを収集する。 取り組みを多くに人に知ってもらい、鎌倉の交通計画への理解を深め、社会的機運を高めるきっかけにする。 日時と場所 日時：九六年十一月二十三日（土）、二十四日（日）　　午前９時～午後６時 場所：国道一三四号沿いの江ノ電の駅に近接する駐車場 実験の内容 第一、実験参加者は七里が浜駐車場、稲村が崎駐車場に自動車を駐車し、一台あたり一千円の駐車料金を払うかわりに、同乗者全員分の一日乗車券を受け取り、電車で観光をした。 第二、実験駐車場利用者に対して利用理由と鎌倉地域内駐車場利用者に対して実験参加しない理由についてのアンケート調査が実施される。 第三、電車と自動車が四つの観