化学電池の仕組みの基本.pdfVIP

木村の理論化学小ネタ http://toitemita.sakura.ne.jp 1 化学電池の仕組みの基本 負極で電子を生産し，正極でそれを消費するのだ。 物理電池と化学電池 電池には太陽電池に代表される物理電池と乾電池に代表される化学電池がある。 化学電池は酸化還元反応を利用して電子の流れをつくる装置。 つまり、化学反応のエネルギーを電気エネルギーとして取り出す装置である。 電池を作るのは簡単で、イオン化傾向の異なる 2 つの金属と電解質溶液があればよい。 化学電池のしくみの基本 イオン化傾向の異なる金属を電解質溶液に浸すと， イオン化傾向が大きい方の金属では，金属が陽イオンとなって電解質中に溶け， このとき生じた電子は金属板に取り残される。その結果，金属板では電子が過剰になる。 一方，イオン化傾向が小さい方の金属板では，イオン化傾向が大きい方の金属板に比べ， そのようなことが起こりにくい。 そのため，両金属板の電子の数に差が生じる。 ここで，両金属板を導線でつなぐと，電子密度の片寄りをなくすべく，電子がイオン化 傾向の大きい金属板からイオン化傾向の小さい金属板に向かって移動する。 （自然な変化の向きは，一般に，密集したあるいは秩序だった状態 → 分散した状態） このとき同時にイオン化傾向の小さい金属板表面でイオン化傾向の大きい金属板から送 り込まれてきた電子を消費する反応が起こると電子の密度の片寄りが解消されない。 すると，電子はイオン化傾向の大きい金属板から小さい金属へ移動し続けることになる。 つまり，イオン化傾向が大きい金属板を負極，イオン化傾向が小さい金属板を正極とす る電池ができることになる。 以上の流れをまとめると， イオン化傾向の異なる 2 つの金属 A と B（イオン化傾向 A B とする）を電解質液に浸す。 水溶液に浸したこれらの金属を電極という。 ↓ 金属Aは陽イオンになって電解質液に溶ける。このとき生じた電子は金属板に残される。 金属 A のイオン化傾向は金属 B より大きいので金属板の電子がより過剰になる。 その結果，電子の数の片寄りが生じる（または金属 A は金属 B より低電位になる）。 ↓ 2 つの金属を導線で結ぶと金属 A と導線と金属 B は 1 つの導体となる。 導体の場合，電荷の片寄りがない（等電位）状態が自然な状態なので， 電荷の片寄りを解消すべく，電子が導線を通って金属 A（低電位）から金属 B（高電位） に向かって移動する。 木村の理論化学小ネタ http://toitemita.sakura.ne.jp 2 ↓ 金属 B の表面で電解質液中の陽イオン +nC と電子 -en が結合し，単体 C が生成する。 ↓ 以上の反応，つまり A での酸化反応による電子の生産と B での還元反応による電子の消 費が繰り返されることにより電子が A から B に電子（B から A に電流）が流れ続ける。 また，A は -e を放出するから還元剤， +nC は -en を受け取ったから酸化剤であり， 電気エネルギーを生じるもとになる A のような還元剤を負極活物質， +nC のような酸化 剤を正極活物質と呼ぶ。 還元反応により電子を消費する極（電流が流れ出す極）を正極（＋極）， 酸化反応により電子を生産する極（電流が流れ込む極）を負極（－極）， 両極間の電位差（電圧）の最大値を起電力という。 化学電池 正極（イオン化傾向が小さい方の金属板）の反応：還元反応（ CeC ?+ -+ nn ） 負極（イオン化傾向が大きい方の金属板）の反応：酸化反応（ -+ +? eAA nn ） 全体の反応（酸化還元反応）： CACA +?+ ++ nn -en A +nA -en +nC -en C 正極 負極 抵抗 電流