オカラ加工食品のβ-カロテン-Unit.pdfVIP

マニュアル参考様式Ver.1 食品中の健康機能性成分の分析法マニュアル 平成23年3月18日受理 産技連/食品健康産業分科会 食品機能成分分析研究会 編 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― オカラ加工食品のβ-カロテン 作成者：(独)産業技術総合研究所 北海道センター 生物プロセス研究部門 主任研究員 仲山賢一 e-mail: k-nakayama@aist.go.jp １.オカラについて １．１ 概要 オカラ（おから、卯の花）は、豆腐を製造する過程で大豆から豆乳を絞った後に残 った食物繊維を多く含む食品である。オカラの語源は絞り滓の意味の「から」から来 ており、廃棄されることもあるが、古くから食用として食べられている成分である。 絞り滓ではあるものの、栄養価は高いことが知られている。 北海道は国産大豆の最大の生産量を誇り、全国生産の約 2 割を占めている。オカラ は大豆の豆腐加工過程で出てくることから、北海道ではオカラも多く副産する。しか しながら現在では、オカラは食品としての需要が供給を大きく下回っており、また品 質の劣化が早く日持ちがしないため、ほとんどが廃棄されているのが実情である。 この様な現状を受けて、オカラを加工して機能性食品として利用する研究が進められて いる。オカラはそれ自身でも、タンパク質やレシチンなどの含有量が高いなど優れた食品 特性を持ち、機能性食品としても期待されている。そのため、北海道では、オカラに有用 微生物や野菜などを混在させた機能性食品開発が進められており、これらのオカラ加工食 品中には様々な機能性成分が強化されている。 1 マニュアル参考様式Ver.1 １．２ 食品あるいは含有成分の機能性 オカラには乾物中に、たんぱく質は約 26%、脂質は約 13%、食物繊維が約 15%含まれ ると言われている。中でも脂質の半分はリノール酸といわれ、さらにホスファチジル コリンも多く含まれていることが分かっている。これまで、β-カロテンの含有につい ては調べられていないが、オカラを加工した機能性食品の中には野菜などを加えたも のもあることから、このようなバリエーションの食品の中にはβ-カロテンが含まれる 可能性が高い。しかしながら加熱乾燥の工程を含むオカラ加工食品では、酸素や温度 などに弱いβ-カロテンのほとんどが失われている可能性もある。 １．２．１ β-カロテンを含む食品 カロテノイドは多くの植物に含まれており、特にβ-カロテンはニンジン、ブロッコ リー、ピーマン、カボチャなどに多く含まれていることが知られている。オカラの原 材料となる大豆での含有量はそれほど多くはないが、オカラにカボチャやニンジンな どβ-カロテン豊富な食品を混合したオカラ加工食品については、当然のことながらカ ロテノイドは多く含まれているはずである。 ２．カロテノイドについての説明 カロテノイドについては、既に多くの項目で述べられているように長鎖ポリエン構造を 有する疎水的な化合物である。テルペン類の一つであり 8 個のイソプレン単位から生合成 されている。このうちβｰカロテンは、最も一般的なカロテノイドであり、ビタミン A の 前駆体として知られている。 ３. 定量分析の方法について オカラおよびオカラ加工食品からのβ-カロテンの抽出方法と、HPLC による定性、 定量方法を述べる。 ３．１ 準備する器