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AO法の理論 10:00-10:20 土田芳彦 さて、少しばかり歴史を紐解いてみます。第二次 世界大戦後にベルギーの外科医である Robert Danis がこう提唱しました。「解剖学的整復と強 固な内固定により骨幹部骨折は仮骨形成を見る ことなく治癒していく」のだと。そのことに興味 を持ったスイスの革新的外科医である Müller が 1950 年 3 月にDanis のもとを訪れたのが全ての この一連の講義の最初に、47 年の歴史を有する 始まりでした｡Müller は理解者を集め1958 年に 「AO 法の治療哲学」についてお話させていただ スイスにおいて 「AO グループ」を結成したので きます。時代の要請に合わせて変革と遂げてきた す。一方、日本におけるAO のドアを開いたのは のが「AO 法」の特徴であり、この講義を通して、 神戸大学の柏木教授であります。先生は 1987 年 昔のAO 法と今のAO 法との相違点がお分かりい に日本で始めて AO コースを開催し、その後 18 ただければ幸いです。最も重要なKey word は「生 年が経過しました。AO コースは今では日本の外 物学的骨接合術」であります。 傷整形外科教育の重要な地位を確立しています。 さて、AO とはドイツ語の Arbeitsgemeinschaft これはAO の革新的進歩を理解するためのスライ fur Osteosynthes Fragen の略語であり、英語で ドです。AO は以前提唱していたことと異なるこ いうところのASIF-Association for the Study of とを言っている、節操がないなどと陰口を言う整 Internal Fixation であります。いわゆる 「骨接合 形外科医もおられます。しかし、そうではありま 術の学術団体」というわけです。 せん。「我々が未来に備えるためには現在に生き なければいけない。そしてそのためには過去から 学ばなければならない」というわけです。過去に どのような過ちがあったのか、それを詳細に分析 することでAO は発展してきました。 1 現在におけるAO の骨折治療原理とは、骨組織の いずれにしても、どのような治療を選択施行する 血行を温存すること。関節面とアライメントを整 にせよ、治療結果をきちんと記録し評価する。そ 復すること。そして安定した固定性を得、早期に して何が悪かったのかを考え次に生かすことが、 痛みのない可動を獲得するということです。過去 常に治療成績を向上させるために必要なことな と比較して最も変化しているのはこの血行温存 のです。そしてそれが生体力学などの基礎研究を の点につきます。そして、これらのAO 法の知識 発達させ、より良いインプラントを開発すること を習得し、骨折治療の技術を習得し、またインプ につながっていきました。 ラントに習熟していただくことが教育を最も重 視しているAO の目