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フランスにおける 2007 年移民法 ―フランス語習得義務から DNA鑑定まで― 鈴木　尊紘 【目次】 権が交代するごとに、寛厳のジグザグ運動を繰り （注1） はじめに 返してきた。特に、近年は、中道右派であるシラ I 立法の背景 ク大統領（当時）のもとで、2つの重要な移民法 1 フランスに入国する移民の種類 が制定され、不法移民対策が強化されることとな 2 不法移民及び家族的移民の抑制 った。その2つの法律とは、第1に、「移民の抑制、 3 社会統合にむけての法的取組み フランスにおける外国人の滞在及び国籍に関す II 2007 年移民法 る2003年11月26日の法律第2003-1119号」（以 （注2） 1 2007 年移民法の制定経緯 下「2003年法」という。）であり、第2に、「移民 2 2007 年移民法の全体像と重要点 及び統合 に関す る2006年7月 24 日の法律第 （注3） III フランス語習得義務と共和国的価値の理解 2006-911号」（以下「2006年法」という。）であ 1 フランス語習得義務 る。 2 共和国的価値の理解義務 この2つの法律によって、フランス政府は、不 3 他国の類似する制度 法移民を抑制すると同時に、移民の社会統合を促 IV DNA 鑑定と移民に関する情報処理 進しようとしたが、これだけでは十分ではないと 1 家族呼び寄せにおける DNA 鑑定 判断し、「移民の抑制、統合及び庇護に関す る 2 研究目的の情報処理と違憲判断 2007年11月20 日の法律2007-1631号」 （以下 （注4） V 2007 年法をめぐるその他の論点 。）を制定した。この法律は、 「2007年法」という おわりに －我が国の移民政策 サルコ ジ大統領の意向が強く反映 したものであ 翻訳：移民の抑制、統合及び庇護に関する 2007 年 11 る。というのは、サルコジ大統領は、内相時に、 月 20 日の法律 2007-1631 号（抄） 上述した2003年法を制定 し、その路線に沿って ：移民・統合 ・国家アイデ ンティティ及び共同発展 2006年法も制定されたからである。また、大統 相の権限に関する 2007 年 5 月 31 日のデクレ第 領選挙キャンペーン中にも、サルコジ大統領は、 2007