í 発足後のííú 自動車産業の考察～多様性.PDF

今月のトピックス No.226-1（2015年3月17日） AEC発足後のASEAN 自動車産業の考察～多様性への対応等で高度な経営力が必要に～ １．多様な国家の集合体であるASEANではAECが発足し、ビジネスの自由化が進展 ・東南アジア諸国連合（ASEAN）は、東南アジアの政治的安定や経済成長等を目的に1967年に設立され、 現在10ヵ国が加盟している。2015年末にはASEAN経済共同体（AEC）を創設することが合意されてお り、物品、サービス、投資等の分野で経済自由化や統合に向けた取り組みが加速している（図表1- 1）。本稿では、ASEAN各国の多様性や日系完成車メーカー、自動車部品メーカー（以下、「サプラ イヤー」と表記）の最近の動向に注目しつつ、ASEAN随一の集積を誇るタイ自動車産業の歴史を振り 返り、ASEAN 自動車産業の発展の方向性や日系メーカーが直面する課題等について整理・考察したい。 ・ASEAN主要国（ASEAN５）の自動車販売台数（四半期）は、ベトナムやフィリピンで堅調に増加し ているが、２大自動車市場であるタイ、インドネシアが大幅に減少している（図表1-2）。タイでは、 政局の混乱や新車購入補助金制度（ファーストカー購入支援策）終了による反動減等の影響で、 2013年央以降前年比で３割前後の減少が続く。また、インドネシアでは、金利上昇や燃料補助金削 減に伴う消費減速から2014年央以降前年比で減少に転じている。 ・一方、中期的にはASEAN５で自動車販売の増加が見込まれている（図表1-3）。特にインドネシア、 フィリピン、ベトナム等では、人口増加に加え、１人当たりGDPが普及拡大の目安といわれる3,000 ㌦を越えて増加することが予想されている。ASEANの自動車市場は、タイ、インドネシアを中心に 拡大が続き、自動車販売は2020年には500万台に迫ることが予想されている。 ・日系完成車メーカーは、1960年代から地道にASEAN 自動車市場の開拓を進めてきた。タイで８割超、 インドネシアで９割超のシェアを握るなど、ASEAN 自動車市場は日系完成車メーカーの牙城となっ ている（図表1-4）。日系サプライヤーにとっても、ASEANの売上高は、自動車販売台数が世界１位 である中国を上回り北米に迫る規模となっており、同地域の戦略的な重要性が高い（図表1-5）。一 方、ASEANは、経済発展段階のほか言語等の文化が異なる国家の集合体である（図表1-6）。国毎に 多様性を有する地域で如何に優位性を維持していくかが重要なポイントとなっている。 図表1-1 AECの発足 図表1-2 自動車販売台数（四半期） （ASEAN５） ASEAN 自由貿易地域（AFTA） （前年比、％） ASEAN経済共同体 60 タイ タイ インドネシア （AEC） 40 20 インドネシア マレーシア フィリピン 0 シンガポール ブルネイ 自由化 マレーシア -20 2010年全品目の関税を 物品・サー