仙台旧城下町に所在する 民俗文化財調査報告書⑤.PDFVIP

仙台市文化財調査報告書第375集 仙台旧城下町に所在する 民俗文化財調査報告書⑤ 仙台の正月飾り 2010年３月 仙台市教育委員会 仙台の正月飾り 例　　　　言 １　本書は、仙台市を補助事業者とした平成19年度国庫補助事業「仙台旧城下町に所在する民俗文化財調査」のう ち、「仙台の正月飾り」に係る調査報告書である。 ２　本調査の実施期間は平成19年6月5日～平成20年3月21日である。 ３　調査は仙台市教育委員会文化財課（担当：伊藤優）の総括のもと、仙台民俗文化研究会が行った。 ４　調査および執筆は次の者が共同で担当した（肩書きは当時） ・鈴木岩弓（東北大学大学院教授） ・加藤寛（瑞鳳殿資料館学芸員） ・山崎環（宮城学院女子大学） ・東北大学宗教学研究室構成員 ５　本調査事業の目的と方法、調査体制、調査成果の概要を示すために別途「総括編」を刊行している。 ６　調査及び報告書作成に関する諸記録、資料等は仙台市教育委員会が保管している。 仙台の正月飾り 目　　　次 はじめに 第１章　「正月飾り」･･･････････････････････････････････････････････････････････････････････1 第１節　仙台地方の正月行事･････････････････････････････････････････････････････････････1 第２節　さまざまな「正月飾り」･････････････････････････････････････････････････････････13 第２章　「正月飾り」に関する神社調査･････････････････････････････････････････････････････15 第１節　調査の概要････････････････････････････････････････････････････････････････････15 （1）郵送調査 （2）保存資料調査 （3）現地調査 第２節　調査結果の概要････････････････････････････････････････････････････････････････18 第３章　仙台市内の神社における「正月飾り」･･･････････････････････････････････････････････21 第４章　まとめ･･････････････････････････････････････････････････････････････････････････90 文献一覧 はじめに われわれ人間の生活は、ミクロに見た場合、その多くはアナログの時間の中で営まれている。しか しこれをマクロに見た場合、われわれは漂っている時間の流れの中に、区切りを設けてその違いを理 解し生活していることが明らかになる。そのようなデジタル化した時間を設定しているのが、「人生 儀礼」と「年中行事」などと呼ばれる、一連の儀礼群である。 「人生儀礼」は、いわば＜直線的な時間軸＞の中に、一生のうちで一回限りの時間の区切りが埋め 込まれ、そのような区切りに対して儀礼が執り行われるものが多くを占めている。それに対して「年 中行事」は、＜円環的な時間軸＞の中にあって、毎年同じ月日を中心に設けられた区切りに対して儀 礼が執り行われることが大半である。 われわれの周りを流れている時間を、便宜的にそのように理解してみるなら、毎年、その年の初め に行われる「正月」という行事は、「年中行事」という＜円環的な時間軸＞のとりわけ新しい年を迎 えて間もなくの時期を中心に設定されている、盆と並んで年中行事の中でも最大級の行事である。こ の機会は、年が改まるという年頭の初めの時期であり、またその時にやってくる正月の神を迎える、 特別な時間と理解されている。それが故に人は、普段とは異なった形で、やって来た正月の神を歓待 し正月を祝う気持ちを表明するのであろう。 このような気