电食-[鉄道総合技术研究所]文献検索.PDFVIP

14-1 電食 ( Electric Corrosion ) はじめに 　直流電気鉄道では，帰線（一般的にはレール）からの漏 れ電流により，レールや沿線の金属製埋設管に「電食」と 呼ばれる腐食が見られることがあります。電食とは，金属 表面から周囲の電解質へ電流が流出するときに金属が腐食 する現象をいいますが，地中の埋設管やレールだけでなく， 電気車の車軸や電動機の軸受けに発生することもあります。 電食については，直流電化がはじまった当時から知られて いましたが，発生する箇所が地中や点検の困難な箇所に多 図1　電気鉄道の電食 いなどの理由により十分な対策が採れずにきました。以下， 電気鉄道における電食を中心にして，電食発生のメカニズ ム，電食対策などについて紹介します。 電食発生のメカニズム 　土壌中に埋設された2枚の鉄片間に直流電流を流す場合， 電源から出た電流は正極である鉄片（A片）から土壌に向 かって流出し，再び土壌から負極である鉄片（B片）に流 入して電源に帰ります。このときA片では鉄が腐食（電食） しますがB片では腐食を生じません（電気防食）。このよ うな電流による金属の腐食量は，ファラデーの法則に従い， 電気量（電流×時間）および金属の電気化学当量に比例し ます。鉄の場合，1mAの電流が流出すると1年間で9.1g が電食により消失します。しかしながら，実際の腐食量は， 金属表面で様々な2次反応が起こるため，この値より多かっ たり，少なかったりします。