龋蚀原因菌に対するデルフィニジン型アントシアニン - 日本齿科保存学会.pdf

演題P1（修復） 【0901】 齲蝕原因菌に対するデルフィニジン型アントシアニンの抗菌効果 ⽇本⼤学松⼾⻭学部 う蝕抑制審美治療学講座 ○三⽥ 肇、鈴⽊英明、⽔野恭⼦、並⽊泰次、池⾒宅司 Antibacterial effects of delphinidin type of anthocyanin against cariogenic bacteria Department of Dental Caries Control and Aesthetic Dentistry, Nihon University School of Dentistry at Matsudo Hajime MITA, Hideaki SUZUKI, Kyoko MIZUNO, Yasuji NAMIKI and Takuji IKEMI. 【研究⽬的】 フラボノイドの⼀種で植物性⾷品素材の⾊素成分として検出されるアントシアニンには抗酸化作⽤、肝障害作⽤、 視神経機能改善作⽤、抗炎症作⽤、動脈硬化改善作⽤などを有することが報告されており、その作⽤機構の解析をは じめ、多くの研究が⾏われている。また欧⽶では、脳⾎管障害の治療等、医薬品の成分として使われており、今後は ⾷品に賦与することをも⽬的として新しい⽤途の開発が期待されている物質である。 今回、我々はこれらアントシアニン系の中からナスの⽪に含まれるポリフェノールの⼀種であるナスニンに着⽬し た。ナスニンには強⼒な抗酸化作⽤やコレステロールの吸収抑制作⽤を持つことが知られており、デルフィニジン型 のアントシアニンに分類され、⾚紫〜紫〜⻘⾊の⾊調を⽰す物質である。しかしながら、これらアントシアニンに対 する⻭科領域疾患に対する研究はほとんど⾏われていない。そこで、本研究は、ナスニンの成分であるデルフィニジ ンを⽤い、齲蝕抑制効果の有無を in vitro において検討した。 【材料および⽅法】 １）供試菌株および試薬 ⽇本⼤学松⼾⻭学部感染免疫学講座から供与された Streptococcus mutans PS-14 株 (以下 S.mutans)、 Streptococcus sobrinus 6715 株 (以下 S.sobrinus )、Actinomyces viscosus ATCC19246 株(以下 A.viscosus ) を本実験に使⽤した。また、デルフィニジンは Delphinidin 3- Glucoside Chloride（常磐植物化 学研究所社製）を使⽤した。 ２）最⼩発育阻⽌濃度の計測 使⽤培地はBHI培地 （Difco社製）を⽤い、10 倍段階法にて最⼩発育阻⽌濃度の計測を⾏った。各菌体を 37℃、 24 時間培養後、1×107 cells / mlに調整して接種し、48 時間培養後に発育の有無を判定した。 ３）GTF 活性の測定 0.6Ｍ sucrose、1.2Ｍ acetate buffer、WIG プライマーを⽤い、精製⽔またはデルフィにジンを加えて反 応させ、室温、24 時間後における 340nm の吸光度を測定し GTF 活性値を計測した。 【成績】 １）デルフィニジンを⽤いた最⼩発育阻⽌濃度の結果は、S.sobrinus に対して 250〜500 μg / ml、 S.mutans、A. viscosus に対しては 500〜1,000 μg / ml であった。菌種間において若⼲の差はあるも のの、これらの菌に対して抗菌⼒を有することが認められた。 ２）GTF 活性値測定の結果、デルフィニジンの添加により軽度な WIG の合成阻害が認