强磁性トンネル接合を用いたメモリやセンサの高性能化に道.docVIP

世界で初めて酸化亜鉛pn接合の発光に成功 －　安価で高効率な固体紫外発光源やレーザに道　－ 平成１６年１２月１７日 国立大学法人 東北大学 国立大学法人 筑波大学 独立行政法人 理化学研究所 国立大学法人 静岡大学 国立大学法人 東京工業大学 独立行政法人 物質材料研究機構 ■ ポイント ■ １）酸化亜鉛は安価で高効率な青色?紫外発光材料として注目されているが、電子が多いn型になりやすく、正孔が多いp型材料の作製は困難であり、pn接合からの電流注入発光の成功例はなかった。 ２）n型の性質を極限まで弱めるため、酸化亜鉛薄膜の欠陥を除く工夫をしたところ、世界最高の電子移動度と世界最長の励起子発光寿命の達成に成功した。 ３）結晶成長の最中に温度を約400と約1000の間を規則的に何度も往復する「温度変調法」を新たに提案し、窒素を効率的に添加して再現性の良いp型酸化亜鉛の合成に成功した。このp型層を用いたpn接合から電流注入による青色発光を確認した。 ■ 概　要 ■ 　国立大学法人 東北大学（総長 吉本 高志）金属材料研究所（所長 井上明久）の塚崎敦院生と川崎雅司教授は、世界で初めて再現性の良い酸化亜鉛のp型薄膜結晶の合成法を確立し、酸化亜鉛を用いたpn接合による紫外発光素子の作製に成功した。 現在、半導体を用いた発光ダイオードは、高輝度?寿命?高効率の光源としてディスプレーや照明をも含む広い応用分野で実用化いる。またダイオードレーザは、赤外領域では光通信の根幹デバイス赤色から青色へとDVDなどの情報ストレージ読み込み光源として実用化いる。特に両デバイスにおける発光波長の短波長化の進歩は、窒化ガリウムの実用化で著しく進歩した。酸化亜鉛は、安価で環境に優しい紫外発光材料であり、励起子の特性を利用することでレーザの発光効率が飛躍的に向上すると期待されている。しかし、酸化亜鉛は元来的に電子の多いn型になりやすく、正孔が多いp型を再現性良く作製することが困難であった。実用上はpn接合を用いた電流注入による発光デバイスの実現が不可欠であり、酸化亜鉛のp型化は非常に困難ではあるが大きなブレークスルーであると認識されていた。 今回の研究では、まずn型の原因となる残留電子を極力低減するために薄膜結晶の欠陥を低減する系統的な研究を行った。その結果、従来よりも励起子発光寿命が10倍、残留電子は1/10、電子移動度の世界記録の更新などを実現し、p型化への制御を試みる十分に高品質な基礎を固めることができた。さらに正孔を供給する不純物である窒素を効果的に結晶に取り込むため、薄膜結晶の成長温度を400と1000を繰り返し往復して約10nm程度の結晶を成長する「温度変調法」を提案し、p型伝導を実現した。このp型酸化亜鉛を用いてpn接合を作製し電流を流したところ、明確な色発光を確認した。紫外領域の発光が十分に観測できない原因も明らかにしており、今後更なる化やダイオードレーザ実現への方針も明らかとなった。この技術開発の成果は、化粧品の粉などありふれた材料現代半導体工学ブレークスルーを引き起こす新しい可能性を明らかにしたとに、既に同グループで開発済みの透明磁石や透明トランジスタと組み合わせることで、メモリ機能や電流スイッチ機能と今回の発光機能を融合した透明エレクトロニクスの実現に一歩前進した成果である。 本研究成果は、英国の科学雑誌「Nature Materials」に掲載予定であり、１２月１９日付けで同誌のWeb上で公開される。 　　　　　は【用語の説明】参照 ■ 研究の背景?経緯 ■ 現在、半導体を用いた発光ダイオードは電灯や蛍光灯など比べて格段に効率が良く寿命が長い発光源として広く用いられている。窒化ガリウムを用いた青色が実用化するまでは、赤と緑の発光ダイオードが様々な機器のインジケータなどに用いられていたが、最近の青色発光ダイオードの実現と各色の高輝度化によって、屋外大型カラーディスプレーや交通信号機、新幹線ホームの案内板など広範に利用されている。三原色の実現で照明や液晶ディスプレーのバックライトなど白色光源を置き換える動きも活発であり、高効率化と低コスト化が急務。また、紫外発光ダイオードが実用化すれば、高効率蛍光体による任意の波長での発光やな白色光源、殺菌や半導体プロセスへの応用等、無限の可能性を持っている。一方で、発光ダイオードをさらに高度化したダイオードレーザの短波長化、DVDなどの読み取りに青色(405nm)のレーザが実用化されつつある。波長が短くなれば、その自乗に反比例し記録密度が可能り、短波長化急務。 これらの可能性に対して、材料としては窒化ガリウムやその窒化アルミニウムとの混晶系がもっとも有望な材料として活発な研究が行われている。当グループは19