全国循环器撮影研究会讲座No.3装置2X线管装置.PDF

全国循環器撮影研究会 HP 講座No.3 装置2 Ｘ線管装置 全国循環器撮影研究会 HP講座No.3 装置2 Ｘ線管装置 (株) 東芝 那須電子管工場 医用電子管技術部 好 邦昌 １. Ｘ線の発生 Ｘ線は電磁波のある周波数帯に分類されるエネルギ－の一種である。真空中また、固体 を通り抜けながらエネルギ－をある場所から他の場所へと運ぶ。 Ｘ線は、原子レベルにお いて、ある電荷が高いレベルから低いレベルへ移った時、または、高速で動く電荷が急に 減速された時発生する。高速で動く電子の減速により発生するＸ線照射は”bremsstrahlung” と呼ばれ、これは”制動放射”という意味のドイツ語である。 物質中の電子は原子核を回るあるべき軌道から叩き出されることにより電子の穴ができ、 原子はエネルギ－的に不安定な状態になる。原子核の最内殻のひとつに電子の欠損が発生 すると、すぐに原子核からより離れた殻から電子が移ることで安定した状態になる。この 電子の遷移は単一原子特有のエネルギ－をもつ放射線(特性Ｘ線と呼ぶ)の発生をともなっ て起こる。放射線のエネルギ－は、電子欠損の起こった殻と電子の遷移が起こった殻との エネルギ－レベル差に等しい。しかしながら、ほとんどのＸ線は ”bremsstrahlung ”によ り発生し、特性Ｘ線が占める割合は10％以下である。 また、Ｘ線の発生は非常に非効率的である。診断用Ｘ線管の場合、電子の運動エネルギ －の0.5％以下がＸ線エネルギ－に変換される。残りのエネルギ－はＸ線管陽極の熱エネル ギ－になる。Ｘ線管設計における性能の限界は、発生する熱エネルギ－が陽極タ－ゲット に溶解を発生しないことを確認することで見極められる。 Ｘ線は電磁波のある周波数帯の一部であり、波長、周波数といったラジオ波、マイクロ 波、可視光に類似の特性を有するが、むしろ、Ｘ線をひとかたまりのエネルギ－( フォトン と呼ばれる) と考えるほうが理解しやすい。アノ－ドタ－ゲットで発生するＸ線は比較的低 エネルギ－であり、アノ－ドタ－ゲットから発生するＸ線フォトン量とフォトンエネルギ －との関係はFigure 1a 中の ”thin target ”カ－ブで表される。Ｘ線管は、厚さのあるタ－ ゲットをもち、ビ－ムがＸ線管外へ出てゆくまでに、種々の構成物質を通るため、低エネ ルギ－フォトンは吸収される。発生Ｘ線の固有ろ過の結果は Figure １a 中の ”inherent filtration”カ－ブで表される。さらに低エネルギ－フォトンを取り除き、患者への入射線を 低減するためには、金属製のフィルタをビ－ムの通過途中に入れる。Figure 1a 中の ” 3.0mm －alminum filtration ”はこれを表す。線量低下のため以上のフィルタルングをしても尚、低 エネルギ－フォトンは残り、人体にて減衰され、画質向上に寄与することはない。このこ とはFigure 1b のカ－ブを見れば明らかである。20cm の厚さの軟組織を通る前後のフォトン エネルギ－分布を描いたものである。 次のセクションでは、Ｘ線管の設計と特性について述べる。 - 1 - 全国循環器撮影研究会 HP 講座No.3 装置2 Ｘ線管装置 Figure 1. Ｘ線フォトンのスペクトラム ２．Ｘ線管 ２－１．陽極と陰極 Ｘ線管はＸ線発生器により発生された電力をＸ線力へ変換する。前に記述したように、 タ－ゲット面に衝突する高速で動く電子源はＸ線発生のための効果的な手段となる。Ｘ線 管においては、陰極で電子が生じ、これが陽極に衝突する。電子の効率的発生源は金属製 のワイヤで、その表面から自由電子が自発的に飛び出すまでの温度に上げられる。Ｘ線管 においては、ワイヤは螺旋状のタングステンコイル( フィラメントと呼ばれる)である。フィ ラメントに比較的高電流(通常4 から5 Ａ)が流れた場合、その抵抗損により、ワイヤの温度 が上昇