学务部长西田久美子.PDF

2015.3.27 北海道大学保健センター 第124号 「定年を迎えるにあたって（雑 感）」 学務部長 西 田 久美子 １．大学職員として 総合入試を導入してから、学生の皆さんは、競 旭川医科大学に採用になって間もなく、まだ若 争の意識が強くなったように思う。もちろん、勉 い女子だった私は、色々な職員サークルに勧誘さ 学が本分であり努力することは大事である。しか れたが、旭川という土地柄もあり、スキー部に入 し、目先の損得や勝ち負けにこだわっていては大 部した。スキーシーズンが終わり春になると、先 事なことが見えなくなってしまう。自分がやりた 輩が「スキー部は夏は山岳部になるので、準備す いことをじっくり考え、そこに向かって努力する るように。」とおっしゃる。素直な（その頃は）私 ことが大事と伝えたい。 は、通勤方法を自転車に変え、足腰を鍛えた。 ６年前に学務部に来てから、毎年、高等教育推 初めての本格登山は、「芦別岳」。富良野近くに 進機構の建物で新しい１年生を迎えている。まだ ある夕張山地の最高峰で、姿の美しい山である。 高校生の雰囲気を残していた新入生が、大学生ら 山小屋で一泊し翌日山頂を目指したが、その年は しくなって学部へと進級していく。それぞれが北 雪融けが早く、雪渓を登る予定の通常ルートが使 大での学生時代を悔いのないよう過ごし、社会へ えず、かなり難しい山登りとなった（らしい）。 と巣立っていってほしいと願う。 「らしい」と言うのは、ベテランの先輩達が十分 注意を払いながらも、初心者を不安にさせないよ ３．飲酒事故防止について う気を遣ってくれたため、私は全く不安を感じる 「大学における保健管理業務は、学生の卒業後 ことなく山を楽しんだのである。下山してから、「初 の真に独立した市民となることに向けて、心身の 心者の西田さんが滑落もせず無事で、本当に良か 健康の維持・増進への促しと具体的支援を行うと った。」と先輩達が振り返るのを聞き、初めて事態 ころにある。」とは、前保健センター長の武藏先生 を理解した次第。 のお言葉である。まずは健康診断受診が大切であ 今考えると、この出来事は私の大学職員として るが、その他の注意すべき具体例の一つとして、 の３８年間を象徴しているように思う。大変なこ 飲酒事故防止対策が挙げられる。本学はこれまで と、辛いことがなかった訳ではないが、いつも周 多くの飲酒死亡事故を経験してきた。その経験か りの先生方や先輩・後輩に助けられ、何だか楽し ら、大学祭での禁酒や公認サークル団体への事故 んでいるうちに今に至り、お陰様で大学職員とし 防止講習の受講義務化などを行ってきた。 て「滑落」しないで済んだ。感謝！ しかし、残念ながら２年前に公認団体の懇親会 の後、急性アルコール中毒で学生が亡くなった。 ２．北大の先輩として 学務部長就任後、間もなくのことであったが、私 私は４２年前に北海道大学に入学した。当時の はご両親の無念さを思うと言葉がなかった。２度 教養部では第２外国語でクラス分けをしており、 とあってはならないことである。しかし、今も泥 私が所属した１年６組 （フランス語のクラス ）は 、 酔して北大病院に搬送される学生は後を絶たない。 他のクラスより女子が多く、また全体的に纏まり 今一度、学生の皆さんには、学生時代は「卒業後 の良いクラスだったように思う。何と（！）今で の真に独立した市民となるための」時代であるこ も東京や札幌でクラス会を開いており、懐かしい とを認識してほしいと思う。 メンバーに会う機会がある。企業戦士だった友人