微生物学讲义ノート 9.DOCVIP

微生物学講義ノート　８　皮膚粘膜感染症、 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　小林正伸 学習目標をきちんと理解する。 １．皮膚粘膜感染症 　　臨床場面ケーススタディ １０歳男児 　　現病歴：３８℃の急な発熱とのどの痛みを訴えて、小児科外来を受診した。咳や鼻水はあ まりなかった。診察したところ、扁桃が腫脹し、浸出物が認められた。圧痛を伴う頸部の リンパ節腫脹も認められた。胸部の聴診では異常所見を認めなかった。 　　　①どウイルスが原因である風とどう鑑別するか？ 　　　　ウイルス性疾患　　　　　?　　　　　　　細菌感染症　　 　　　　 発熱や痛みなどの症状では鑑別できない。最大の違いは白血球の増加があるかどうか。 　　　②どのような検査が必要か？ 　　　　　 　　　③どのような治療?服薬の指導をすればいいのか？ 　　　　注意点として、原因菌が溶血性連鎖球菌(溶連菌)の場合は、中途半端な抗生物質治療 を行うことで、後々に腎炎などを引き起こす可能性がありますので、処方された分は 必ず飲みきることが重要。 　 　　事例２ 　　６７歳男性。糖尿病、高血圧症、高尿酸血症で近医に通院中。 　　現病歴： ２日前から発熱、下肢の痛みを認めた。本日になって意識障害、呼吸困難、下肢 の腫脹を認めたため、家人が救急車を要請した。 ?患者を診て第一にすることは何か？ 意識障害、呼吸困難があり救急措置が必要 ?どのような検査が必要か？ 下肢の腫脹と発熱から、下肢の幹線を考える。 ?意識障害と下肢の腫脹の関連をどう考えるか？ 意識障害があるということは、代謝性疾患や中枢神経系の疾患を考える必要がある。 Ａ群レンサ球菌 レンサ球菌が引き起こす疾患 １）通常は、咽頭炎扁桃腺炎で発症することが多い。 ２）膿痂疹 蜂窩織炎 劇症型連鎖球菌感染症 　　 　　 　　 　　臨床場面ケーススタディ３ 　　５０歳男性。 　　現病歴：参加していた学会で昼食の弁当を食べた３時間後に嘔気、嘔吐、下痢に見舞われ、 　　救急車で病院に搬送された。 　　　①患者から何を聞いたらいいか？ 　　　②食事から症状が出るまでの時間をどう考えるか？ 　　　?どのような治療をすればいいのか？ 　　 　　 　　黄色ブドウ球菌による劇症型感染症　 　　 ２．皮膚に発疹が出現するウイルス感染症 　　臨床場面ケーススタディ 　　３才女児。 　　現病歴：38℃台の発熱と咳嗽、鼻汁がみられた。いったん解熱したが、翌日に再び発熱と、 　　耳後部から顔、体幹、四肢に広がる紅色小斑状丘疹がみられたため、小児科が依頼を受診 　　した。約２週間後、子供が通院していた幼稚園より麻疹患者数名が受診した。 　　小児科外来受診時、発熱、発疹が見られており、感染力の強い麻疹が疑われたため、児を 直ちに隔離した。診察の結果、頬粘膜にコプリック班を認めたため、医師は症状より麻疹 と診断した。 　　　①発熱?発疹をきたした患児の診断はどのように勧められるのか？ 　　　　 　　　　麻疹 　　　　 　　　　スライドを参照する。 　　　　以下の事項を覚えておく。 　　　　潜伏期間：約１０?１２日 　　　　カタル期（２?３日）：発熱、咳、鼻水、などコプリック斑もこの時期 　　　　発疹期（４?５日）：いったん解熱後に発疹とともに再度発熱 　　　　回復期 　　　　予防には麻疹ワクチンが有効。 　　　②外来受診時の対応で注意すべきことは？ 　　　　治療：特になし 　　　　予防：麻疹ワクチン 　　　③麻疹はどのような経過を辿るのか？ 　　　　 　　臨床場面ケーススタディ２ 　　２才男児 　　現病歴：38℃の発熱と発疹を主訴に来院した。発疹は紅斑、水疱が混在し、体幹、頭髪部 　　に数個みられた。４才の兄が２週間前に水疱に罹患し治療を受けていた。 　　　①水疱を伴う発疹からどのような感染症が考えられるか？ 　　　　教科書の表2.8-1参照 　　　②外来受診時の対応で注意すべきことは？ 　　　　治療：抗ウイルス薬アシクロビルの投与 　　　　予防：水痘ワクチン（弱毒生ワクチンなので発疹出現などもあり得る） 　　　③水痘はどのような経過を辿るのか？ 　　　　教科書の図2.5-8参照 　　　 　　経過 　　 7