参考资料－Ⅰ.PDFVIP

参 考 資 料 － Ⅰ ・「発注機関におけるコンプライアンスのあり方について」 楠 茂樹 上智大学法学部准教授 ・「公共調達における改革の取組・推進の重要性」 柳川 範之 東京大学大学院経済学研究科准教授 発注機関におけるコンプライアンス のあり方について 上智大学法学部法律学科 准教授 楠 茂樹 一 はじめに 前年秋からの数ヶ月間だけをみても，防衛 省 CX 輸送機エンジン調達を めぐる不正疑惑，国土交通省豊岡災害復旧工事をめぐる収賄事件，同省奈 良飛鳥公園の造園工事をめぐる収賄事件， さらには同省関東地方整備局事 務所職員による印刷業務にかかわる随意契約がらみの収賄と，発注機関職 員が公共調達をめぐる不正に関与するケースが目立っている。防衛省のケ ースでは事務次官が，国土交通省のケース （飛鳥公園）ではキャリア官僚 である事務所長が逮捕，起訴されるに至って いる。入札談合等関与行為防 1 止法 （官製談合防止法）が 2000 年に制定されたことからもわかるとおり， 発注機関職員による公共調達をめぐ る不正行為はこれまでも問題視され てきたが2 ，冒頭のような発注側の不正が立て続けに生じたことにより，「発 注機関におけるコンプライアンスのあり方」が，これまで以上に厳しく問 われるようになることが予想される。本稿で は，こうした事情にかんがみ， 発注機関におけるコンプライアンスのあり方 を，コンプライアンスにかか 3 わる基本的考え方を踏まえつつ，考察することとする 。 本稿は， 「コンプライアンス」という概念について，その言葉が一般に 用いられる射程を超えた意味付けをしたため に，通常のコンプライアンス のあり方を問う論稿とは趣の異なったものと なった。それは，筆者が，発 注機関のコンプライアンス活動を眺める際に ，一般には見落とされている のではないかと思われる本質的な部分について指摘することを課題とし て設定し，本稿の執筆に取り組んだことがその背景にある。本稿を読まれ る方には，その点についての留意をお願いしたい。 二 公共調達発注機関にかかわる諸法令 公共調達は，発注側である国，地 方自治体等と，受注者である民間企業 等との間で結ばれる契約によって成り立って いる。物品調達であれば売買， 工事施工であれば請負，一部業務委託は委任 であるなど，契約の性格は調 達対象によって異なるが，契約者選定にかかわる大まかな手続は，国であ 1 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律（平成 14 年法律第 101 号）。 2 少し前になるが，たとえば，日本経済新聞平成 18 年 2 月 4 日朝刊 2 頁（ 「官のコンプ ライアンス欠如が生む談合（社説）」）等参照。 3 本稿中，意見にかかわる部分については，あくまでも筆者の個人的見解に基づくもの であって，検討会全体の総意をあらわすものではないことを予め断っておく。当然のこ とながら，本稿において存在するかもしれない誤り等は，すべて筆者の責任に帰するも のである。 1 4 5 6 れば会計法 ，