钏路油汚染海鸟救护报告野生动物救护獣医师协.PDFVIP

釧路油汚染海鳥救護報告 野生動物救護獣医師協会(WRV-J)大阪支部長 WRV-J油汚染水鳥救護専門家協議会 専門部副部会長 獣医師・獣医学博士 中津 賞 8月15日昼過ぎに大阪府の野生鳥獣保護員の佐々木氏より電話で、釧路湾で は赤色油によって多数の海鳥が被害に遭って、救護活動が始まっているとの情 報を得た。直ちに日野の水鳥救護研修センターに連絡して、応援のための更な る情報収集を依頼した。対馬での原油汚染時には私自身の対応が送れたので、 急遽いつでも出発できる様に，勤務体制の調整等の準備に入った。同時に現場 で必要な用具、薬品等を段ボールに詰める様に指示した。18日に洗浄を開始す る旨の連絡が日野からあり，17日には出発することにした。幸い航空券はお盆 過ぎということで手に入れることができた。 当日は出発1時間前に、激しい尿毒症のオス猫が来院し，完全な尿閉で尿路の 確保が困難であったため、直ちに会陰尿道瘻手術をはじめる必要があった。５ 分前には、あと数糸を残すだけとなったところで，術者を交代してもらった。 ５分間で着替えをして，荷物を詰めて最小限度のものを持って出かけた。その 中には29Gマイクロシリンジ、a／d缶３個があった。 釧路空港で，馬場先生より連絡先として予め御教えいただいてあった黒沢先生 に電話をした。迎えにきてくれるということで感激である。黒沢宅に泊めて頂 けということであり難く御願いした。勤務事務所はすぐ隣にあり，大動物手術 室が洗浄場所として提供された。これも黒沢先生の特別のご配慮があったもの と思われる。ここから車で30分位の所の釧路湿原近くに環境省野生生物保護セ ンターがあり，この中の猛禽類医学研究所の斉藤慶輔獣医師と渡辺有希子獣医 師が環境省との契約でシマフクロウ等の猛禽類保護の為の仕事をされていた。 そのために血液検査をはじめ種々の器具、器械をお借りすることが出来た。保 護された海鳥は６畳間くらいの広さの禽舎に収容され、解凍したホッケが与え られていた。収容直後の写真(写真１、２、３)で見るほどは赤い色が付いてい なくて、水でも落ちることが示唆された。 しかし翼の内面や、それに接する脇の下あたりの綿羽は赤く染まっていた(写真 ４、５)。 いずれの鳥も、撥水性は著しく損なわれていて、水浴びすると、綿羽まですっ かり濡れた状態になっていた(写真６)。 これは油性物質が羽毛に付着して、羽毛の立体構造から来る撥水機能を破壊し ていることを意味していた。 18 日 朝から WRV 会員の獣医師渡辺ユキ先生の勤務先の阿寒国際ツルセンターを案内 して頂く。コクシジウム症で食欲廃絶したタンチョウを御苦労して無事育てた 苦労話を伺った。渡辺先生の車に同乗して、皆川先生が東京から 11 時 30 分に 到着するのを釧路空港に迎えに行く。 12 時に保護センター集合し、早速収容状況を見る。被害にあった海鳥のうち生 きて保護された個体がオオセグロカモメ３0羽、ウミネコ２羽で、死体で回収さ れたものが18羽であった。赤色の油様物質で、当初は胸前部が真っ赤に染まっ ていたが、我々が見た時には、翼の内側、腰、下尾筒等に限局していた。しか し、成長中の羽毛では羽鞘と羽軸隙間にも赤い色素が入り込み、さらに羽軸を 中から赤く染めていた。また羽毛が全く水をはじかなくなって、全身がずぶぬ れで、体温も降下して体調は最悪を示していた。体重測定、身体検査、血液