地球温暖化と沙漠化防止回复に植物や作物栽培で挑む!.PDF

地球温暖化と沙漠化防止、回復に植物や作物栽培で挑む! ＝生物圏資源科学専攻 講師 志水勝好＝ 私は作物栽培､植物栽培を通して地球沙漠化､温暖化防止、環境修復に取り組んでいます。特に栽培 植物を飼料や油料､繊維料作物として利用しながら環境修復を試みることを農業的環境修復と称し、 現場の農家の方々が収入を得ながら環境修復ができる方法を提案しています。 1. 地球沙漠化対策として 1-1. 植物の耐塩性機構の解明と塩生植物の利用 世界中には海水を始めとして塩を高い濃度で含む水資源 （河川水､地下水など）が多い。そのよ うな高い濃度の塩水で生きることができる植物の形態・生理的な仕組みを明らかにする。特にその 機能を強く持つ植物を塩生植物と言う。塩が土壌に蓄積し、塩水の影響により沙漠化しつつある地 域で、塩生植物を栽培することにより沙漠化の防止、環境修復を試みる。さらに塩生植物の利用法 を探る。 1-2. アルカリグラスの形態、生態および生理に関する研究 塩類集積や土壌のアルカリ化は沙漠化や農耕地の土壌劣化を引き起こすため問題となっている。塩 類集積土壌およびアルカリ土壌の修復を促す方法の１つとし て、耐塩性や耐アルカリ性を持つ植物 を栽培することが考えられる。そこで、耐塩性やアルカリ耐性を持ち、飼料としての利用価値のあ るアルカリグラスに着目し、アルカリグラスによるアルカリ沙漠の環境修復の可能性を調べている。 同時に一般的な植物が自生できないアルカリ沙漠においてなぜアルカリグラスが生育できるのか、 根の形態､生理を中心に分析している。 2. 地球温暖化対策として 2-1. ケナフの形態と生理、栽培、利用に関する研究 現在製紙原料として利用されているのは半分以上が古紙で、パルプまたはパルプ原料として輸入さ れている木材チップなどは実に 75％も海外に日本は依存している。しかし京都議定書の発効に基づ く森林保護のため、木材チップ、パルプ輸出国は輸出量を減少させることが予測できる。それに代 わる原料を確保することは日本にとって極めて重要である。ケナフは東南アジアではロープや衣類 用の繊維を得るために栽培されてきたが、アメリカでは製紙用パルプ原料として注目され、研究が なされてきた。加えてその光合成速度はC3 植物としては高く、生長量も大きい。そのような理由か ら、ケナフの形態的な特徴と生理的な性質の解明を試み、日本での栽培法について研究を行ってい る。また、生産調整のため稲作ができない水田において代替作物としてケナフの栽培を試みている。 これは飼料的利用を想定しており､日本の飼料自給率が25％と低いことから、高蛋白、高収量の飼 料作物生産が急務とされており､その一つの候補としてケナフを研究材料としている。 ケナフの花 2-2. ナンヨウアブラギリの生育に関する生理的および形態的研究 ナンヨウアブラギリはタイワンアブラギリ、ジャトロファ、ヤトロファとも呼ばれる、トウダイグ サ科に属する中南米原産の木本である。南米、アフリカ、インド、東南アジアで広く栽培されてい る。種子は 30～60 %の油を含み、種子収量は条件によって異なるが 0.1～15 t/ha/年である。ナン ヨウアブラギリの種子油は古くからランプ油や石鹸、殺虫剤、医薬品などの原料に利用されており、 種子油の利用法や栽培法などに関しては研究が多くなされている。種子油はバイオディーゼル燃料 源として優れた性質を持ち、既存のエンジンの改良をほとんど必要とせずに直接またはメタノー ル と混合することにより利用が可能であることが報告されている。食糧生産が困難な土地を利用した ナンヨウアブラギリの栽培を通じて、バイオ燃料の持続的生産が期待できるが、ナンヨウアブラギ リの栽培、生育や生理的特性 に関する報告は少ない。ナンヨウアブラギリの生育に関する生理的お よび形態的特性を明らかにし、熱帯の作物でありながら日本において開花､収量増加を試みている。 ナンヨウアブラギリの開花 発表論文 Shimizu, K. and M.Shimizu （2012） Effects of different planting densities and saline environment on the seed yield and seed oil yi