耳小骨筋耳管.PDF

も分厚くなっています。 収縮によってこれを避けることができます。した 鼓膜に光を当てると（耳鏡で観察すると），きら がって，顔面神経麻痺では聴覚過敏を訴える（音 きら光る光錐triangularlightreflex を認めます。 がうるさく聴こえると訴える）ことがあります。 光錐は鼓膜の張り方の関係で光線が最も反射しや ただし，音圧の減弱はわずかなので，過大音から すくなっただけであり，組織構造が変わっている の内耳保護をアブミ骨筋の生理的機能とする見解 わけではありません。そのため，鼓膜が弛むと， には異論もあります（近年は自声の内耳伝達を軽 光錐はとたんに見えなくなります。 減し，音を聴きやすくするなどの見解が唱えられ なお，鼓膜の部位を表現する場合には，ツチ骨 ています）。 柄の延長線と臍で直角に交わる線を引いて4区画 他方，鼓膜張筋tensortympanimuscle はツチ に分け，図1-5のように，それぞれ前上象限，前 骨柄上部に付着し，三叉神経第3枝の支配を受け 下象限，後上象限，後下象限と命名します。 ます。鼓膜張筋が収縮すると，鼓膜は内陥します が，その意義はアブミ骨筋以上に不明です（音響 刺激だけでなく，驚愕時にも収縮するからです）。 3 tympanic muscle 耳小骨筋 STEP 3 耳小骨筋は耳小骨に付着する横紋筋で，鼓膜張 アブミ骨筋は顔面神経支配 筋とアブミ骨筋の二者があります（耳小骨筋は2 収縮によってアブミ骨を変位させ，過 つ，耳小骨は3つなので，耳小骨筋は最も外側の 大音から内耳を守る ツチ骨と最も内側のアブミ骨に付着すると，バラ ンスが取れます）（図1-6）。なお，両者とも横紋 筋ですが，不随意筋です。 4 auditory tube，Eustachian tube 耳　管 アブミ骨筋stapediusmuscleはアブミ骨頭に付 着し，顔面神経の支配を受けます。アブミ骨筋が 収縮すると，アブミ骨は後上方に変位し，音が内 耳管は上咽頭と鼓室をつなぐ約3.5cm の管腔で 耳に伝わりにくくなります。逆に，アブミ骨筋の す。外耳道と同じく耳管にも骨部と軟骨部があり， 役割はこの点にあると考えられます。つまり，過 側頭骨に囲まれた鼓室に近い1/3が骨部，上咽頭 大音がそのまま内耳に伝わると，騒音性難聴（音 に近い2/3