对在日语句子主部中的助词_和_的再认识_26_30.pdf

(12)の「は」は｢太郎｣が文の主題であることを表わし、(13)の二つの「は」は｢雨｣ と｢雪｣とを対照させている。主題 · 対照説は、このよ うな「は」の二つの働きに 注目した見方である。 2.1.2.2 主題 · 対照説の問題点 しかし、主題 · 対照説(久野1973)では、「は」という助詞が何ゆえ｢主題を表わ す｣用法 · ｢対照を表わす｣用法という二用法を有するのか、ということが説明され ていない。また、「は」には、主題提示用法でも対照用法でもない、次のような用 法があることが捉えられていない。 強調用法： (14) a そんな本、誰も読みは しないよ。（＝(3)｢読まない｣を強調） b 島村に閃いた不安と言えば、水平に伸びた女の体で頭の方が下になり はしないか、腰か膝が曲りはしないかということだった。 （川端康成『雪国』 新潮社1986） 動作の反復を表わす用法： (15) a 寄せては返す波をみていると、心が静まりますよね。（＝(4)） b 彼女はあいかわらずちょっとしたあいまを見つけてはフインを飲んだ り煙草をふかしたりしていた｡ (村上春樹『ノルウェイの森』 講談社1991) よって、主題 · 対照説も「は」の機能についての説明としては不十分であると言 える。 2.2 「は」のスキーマ的機能 以上、2.1節では、「は」の機能について、既知説、主題 · 対照説という二つの 17 見方を検討した。そして、それらがいずれも、「は」の諸用法に包括的 · 統一的な 説明を与えるものではないことを述べた。 それでは、 「は」の諸用法を包括的 · 統一的に捉えることのできる、「は」のス キーマ的機能は如何なるものであろうか。本節では、以下、「東京は神田の生まれ だ」型表現において用いられる、一見特殊な「は」の用法を詳細に分析することに よって、「は」のスキーマ的機能に迫りたい。 2.2.1 「東京は神田の生まれだ」型表現における「は」の用法 2.2.1.1 「東京は神田の生まれだ」型表現 現代語「は」の用法が、主題提示用法 と、他との対比を表わす用法（以下、「対 比用法」と言う）とに大別されるという見方は、「は」の機能、用法についての研 究において、現在、共通理解とも言えるほどになっている（術語として「主題」で はなく「題目」が用いられることもあるが、本節では、文献から直接引用する場合 を除き、便宜上「主題」に統一する）。次の例を参照されたい。 (16) アメリカの首都はワシントンです。 (17) 彼、煙草は吸うけど酒は飲まないよ。 (16)の「は」は主題提示用法、(17)の二つの「は」は対比用法である。しかし、そ のほかに、次の用法がある。 (18) (「どちらのお生まれですか？」といった問いに答えて)東京は神田の生ま れです。 (19) (料理店についての紹介)イタリアはフィレンツェの名店「サバティーニ」 の東京支店。（『たべあるき東京』1997） (20) （デパートで客寄せをして）浅草は○○堂のお菓子です。（竹林2004再掲） (21) (レポーターの発話)今日は、400年の温泉の歴史を持つ町、群馬県は伊香 保に来ております。 （TBSテレビ「王様のブランチ」2001） 18 (22) 南国、鹿児島はきもつきからお届けします！（竹林2004再掲） (23) 昭和は10年の卒業生だ。 （菅野1964再掲） 6 (24) 昔々、中国は唐の時代 （NHK総合テレビ「アニメ西遊記」(1989) 青木1992再掲） 本稿は(18)～(24)のような表現を「東京は神田の生まれだ」型表現と呼ぶことにす る（「東京は神田の」型表現と略する）。 ただし、「東京は