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地質調査総合センター研究資料集 no.402 GSJ Open-file Report no.402, 2004 国際標準地球磁場ＩＧＲＦとその計算ソフトウェア（３） Calculation of the International Geomagnetic Reference Field (3) 中塚　正（産総研 地球科学情報研究部門） Tadashi Nakatsuka (Institute of Geoscience, GSJ/AIST) 2004 年 1 月 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 国際標準地球磁場ＩＧＲＦとその計算ソフトウェア（３） 中塚　正（産総研 地球科学情報研究部門） １．は　じ　め　に 　本資料は，『地質調査所研究資料集 no.184』に記した同じ題名の資料（中塚，1992）の改訂版である．改訂点は，1992年以降2003年までのIGRFモデルの採択状況に合わせた記述の追加とプログラムの更新であるが，従来のFORTRANプログラムに加えてC言語に移植したものをも提示する． 　国際標準地球磁場（IGRF: International Geomagnetic Reference Field）は，国際地球電磁気学会（IAGA: International Association of Geomagnetism and Aeronomy）において決議された標準地球磁場モデルであり，全世界の地磁気観測所の観測デ－タおよび人工衛星をはじめとする各種の移動観測による地磁気測定データを基礎にして作られている．このモデルは，地球内部に起因する地磁気分布の大局的傾向を示すものであり，主として地球中心核内の電磁流体現象に起因する成分を表現していると考えられている．地質調査所，産総研地質調査総合センターで出版された空中磁気図（no.6以降）および海洋地質図に添付された地磁気異常パターン図オーバーレイの作成にあたっては，磁気異常値計算の基準としてIGRFが用いられている． 　磁気探査結果は通常，大局的な傾向を除去した残差磁気異常図の形で図化表示されるが，その基準としては，古くは各探査区域毎の傾向面解析に基づく1次（または2次）の傾向面が使われた．しかしこの方法によると，隣接する探査区域の間で傾向面が異なるため，磁気図のコンターがつながらないことになり，広域的な視点で磁気図を見るときに不都合である．このため，残差計算の基準として各地域毎でなく全世界的な傾向面を用いることが考えられ，今日では専らIGRFが基準として用いられている． ２．IGRFの概要（採択の歴史） 　IGRFの第1世代のもの（IGRF 1965）がIAGAにおいて初めて承認されたのは，1968年10月ワシントンでのIAGAのシンポジウムのときであり，このモデルは，1965.0年における値とその経年変化率を与えるものであった（IAGA Commission 2 Working Group No.4, 1969）．この経年変化項は，当時，1955.0－1972.0年の期間に適用するとされたが，1973年9月京都でのIAGA第2回学術総会において，その期間を1975.0年まで延長することが決議された（IAGA, 1973）． 　次に，1975年9月にグルノーブルで開かれた国際測地学地球物理学連合（IUGG: International Union of Geodesy and Geophysics: IAGAを含む国際学会の連合組織）の第16回総会では，IAGA総会において1975.0年における値と1975.0－1980.0年の間の経年変化率を与えるIGRF 1975 が採択された（IAGA Division Study Group, 1975）．第２世代であるこのIGRF 1975は，IGRF 1965との連続性を尊重して決められており，このIGRF 1975の1975.0年における値は，第１世代のIGRF1965 の経年変化補正を施した1975.0年における値に一致する． しかし，IGRF1965 の経年変化項が採択以後の実際の経年変化と異なっていたため，IGRF1975 には実測と合わない面が残されたと言われている．このため第3世代以降のIGRFの決定にあたっては，将来予測部分を含めた連続性の確保は断念されることとなった． 　1981年8月エディンバラで開かれたIAGA第4回学術総会において，第3世代のIGRF 1980が採択された（Peddie, 1981）が，このとき新たに確定国際標準地球磁場（DGRF: Definitive IGRF）なる概念が導入され，従来の予測値の意味をもつIGRFに対して確定値を与えるものとされた．この1981年に採択さ